βブロッカー薬

医学史の中で, 狭心症を初めて的確に記載した臨床医は, 今から227年前の1772年英国のWilliam Heberdenです1). 今日の目で読み直してみると労作狭心症や不安定狭心症の病態を的確に記載しています. このように狭心症の認識が古いのに比べ, β遮断薬の臨床応用の歴史はわずか30年程にすぎません. しかしその恩恵は大きなものがあります. 狭心症の病態を概説しβ遮断薬の有用性について述べます. 狭心症の病態 狭心症は一過性の心筋虚血に伴う胸痛発作を主とする症候群です. 胸痛発作ばかりでなく, 心収縮力の低下に伴う左室のdynamic failureは拡張末期圧上昇と心拍出量減少を招き...

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Published in心臓 Vol. 31; no. 9; pp. 683 - 685
Main Author 半田俊之介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 丸善 1999
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Summary:医学史の中で, 狭心症を初めて的確に記載した臨床医は, 今から227年前の1772年英国のWilliam Heberdenです1). 今日の目で読み直してみると労作狭心症や不安定狭心症の病態を的確に記載しています. このように狭心症の認識が古いのに比べ, β遮断薬の臨床応用の歴史はわずか30年程にすぎません. しかしその恩恵は大きなものがあります. 狭心症の病態を概説しβ遮断薬の有用性について述べます. 狭心症の病態 狭心症は一過性の心筋虚血に伴う胸痛発作を主とする症候群です. 胸痛発作ばかりでなく, 心収縮力の低下に伴う左室のdynamic failureは拡張末期圧上昇と心拍出量減少を招き, 息切れ, 倦怠感をきたすこともあります. 虚血に伴い致死的不整脈から突然死, 失神発作, めまいなどをきたす場合もあります. このような一過性心筋虚血の機序は三つの要因によります2).
ISSN:0586-4488