Fontan手術とはなにか 術後の患者をどう管理すればよいのか
1.Fontan手術とは Fontan手術は, 1971年にFontanとBaudet1)によって, 三尖弁閉鎖症の機能的根治術(チアノーゼ, 心不全の改善)として考案・報告された術式で, 体静脈血すべてを(右)心室を介さず肺に流す, 完全右心バイパス手術である. その後, この術式は心室が1つしかない(単心室症)あるいは2つあっても心内の複雑奇形等のため1つの心室としてしか使えない先天性心疾患に対する唯一の根治術として, 広く応用されるようになった. 肺血管床が正常であれば, 心室を介さずとも静脈圧で肺循環が成り立つという概念が, Fontan手術の根本であり, その発端はGlennにより1...
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Published in | 心臓 Vol. 31; no. 9; pp. 635 - 640 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
丸善
1999
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Summary: | 1.Fontan手術とは Fontan手術は, 1971年にFontanとBaudet1)によって, 三尖弁閉鎖症の機能的根治術(チアノーゼ, 心不全の改善)として考案・報告された術式で, 体静脈血すべてを(右)心室を介さず肺に流す, 完全右心バイパス手術である. その後, この術式は心室が1つしかない(単心室症)あるいは2つあっても心内の複雑奇形等のため1つの心室としてしか使えない先天性心疾患に対する唯一の根治術として, 広く応用されるようになった. 肺血管床が正常であれば, 心室を介さずとも静脈圧で肺循環が成り立つという概念が, Fontan手術の根本であり, その発端はGlennにより1958年に行われたGlenn手術(上大静脈-右肺動脈吻合術, すなわち部分右心バイパス手術)にある2)3). 1974-1998年に我々が経験した414例のFontan手術症例全体の病院死亡率は9.2%, 三尖弁閉鎖症, 単心室症に限れば, 7.0%で, 遠隔成績も比較的良好(後述)であり, 対象疾患の重症度を考慮すれば, 非常に有用な術式といえる. |
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ISSN: | 0586-4488 |