運動能力と使用筋肉量の関係

運動に関与する筋肉量の増加が正常心機能患者の運動能力を改善するか否かにつき検討した. 対象は心不全症状, 心筋虚血徴候を有さない心疾患患者20例(全例男性)であった. 運動負荷は自転車エルゴメータを用いて, 各々一肢(一肢負荷)および両下肢(二肢負荷)で, 10W/分のramp負荷を施行し, 呼気分析により, 最高酸素摂取量(peak VO_2 )および換気閾値(VT)を測定した. 結果:対象は二肢負荷におけるpeak VO_2 の良否により運動能力正常群10例と運動能力低下群10例に分類された. 運動能力正常群では, 二肢負荷のpeak VO_2 ,VTが一肢負荷のそれらより有意に大きかった...

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Published in心臓 Vol. 29; no. 6; pp. 499 - 506
Main Authors 山内孝義, 鯵坂隆一, 渡辺重行, 増岡健志, 斎藤巧, 外山昌弘, 杉下靖郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 丸善 1997
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Summary:運動に関与する筋肉量の増加が正常心機能患者の運動能力を改善するか否かにつき検討した. 対象は心不全症状, 心筋虚血徴候を有さない心疾患患者20例(全例男性)であった. 運動負荷は自転車エルゴメータを用いて, 各々一肢(一肢負荷)および両下肢(二肢負荷)で, 10W/分のramp負荷を施行し, 呼気分析により, 最高酸素摂取量(peak VO_2 )および換気閾値(VT)を測定した. 結果:対象は二肢負荷におけるpeak VO_2 の良否により運動能力正常群10例と運動能力低下群10例に分類された. 運動能力正常群では, 二肢負荷のpeak VO_2 ,VTが一肢負荷のそれらより有意に大きかったが, 運動能力低下群では, いずれの指標も両負荷での有意の差異を認めなかった. Physical conditioningの指標である最高酸素脈(peak O_2 -pulse)は運動能力低下群が運動能力正常群より有意に小さかった. Peak O_2 -pulseと二肢負荷のpeak VO_2 , の一肢負荷のそれに対する増加率(% peak VO_2 )とには正の直線的相関を認めた. 以上より, 正常心機能患者において, 運動に関与する筋肉量の増加に伴う運動能力の増加の程度からphysical deconditioningの有無を推測しうることが示唆された.
ISSN:0586-4488