安静時血漿レニン活性が正常範囲にありカプトプリル負荷試験が診断に有用であった腎血管性高血圧症の1例

症例は20歳, 女性. 15歳の時に易疲労感を訴え近医を受診し, 高血圧180/110mmHgを初めて指摘された. 入院時は高血圧症以外に自他覚所見がなく, 安静時血漿レニン活性は正常範囲内にあり, 父方に高血圧症の家族歴があったため本態性高血圧症が疑われた. アンジオテンシン変換酵素阻害薬を投与したところ, 著効を示したことから腎血管性高血圧症を疑った. カプトプリル負荷試験でMullerの診断基準を満たしたため, 腎血管造影, 分腎採血を施行し, 腎血管性高血圧症と診断した. 以上, 安静時血漿レニン活性が正常範囲の症例に対して, カプトプリル負荷試験が簡便なスクリーニング法として診断に有...

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Published in心臓 Vol. 28; no. 9; pp. 768 - 772
Main Authors 津島健司, 溝上哲朗, 林元則, 竹中寛彰, 小島昌治, 磯部光章, 関口守衛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 丸善 1996
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Summary:症例は20歳, 女性. 15歳の時に易疲労感を訴え近医を受診し, 高血圧180/110mmHgを初めて指摘された. 入院時は高血圧症以外に自他覚所見がなく, 安静時血漿レニン活性は正常範囲内にあり, 父方に高血圧症の家族歴があったため本態性高血圧症が疑われた. アンジオテンシン変換酵素阻害薬を投与したところ, 著効を示したことから腎血管性高血圧症を疑った. カプトプリル負荷試験でMullerの診断基準を満たしたため, 腎血管造影, 分腎採血を施行し, 腎血管性高血圧症と診断した. 以上, 安静時血漿レニン活性が正常範囲の症例に対して, カプトプリル負荷試験が簡便なスクリーニング法として診断に有用であったので報告する. 腎血管性高血圧症は腎動脈の狭窄による腎臓の灌流圧低下により起きる.
ISSN:0586-4488