本態性高血圧症における血漿ANP, BNP濃度測定の意義

55名の本態性高血圧症患者を対象に, 血漿ANP,BNP濃度を測定し, 左室肥大との関係について検討した. 安静空腹時の血漿ANP,BNP濃度をラジオイムノメトリックアッセイ法にて測定した. またMモード心エコーにより左室構造の諸指標の計測を行い, 求心性, 遠心性左室肥大に分類した. 平均血漿ANP,BNP濃度は本態性高血圧症患者において健常者に比し有意に高値であった. また, 左室肥大群で血漿ANP,BNP濃度は非肥大群に比し高値であり, 中でも求心性肥大群で遠心性肥大群に比し高値であった. 血漿ANP,BNP濃度は左室重量係数と有意な相関を認め（ANP：r＝0.55, BNP：r＝0.5...

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Published in心臓 Vol. 28; no. 3; pp. 197 - 202
Main Authors 錦見俊雄, 吉原史樹, 森本淳詞, 石川一彦, 吉富雄二, 石光俊彦, 松岡博昭, 尾前照雄, 斎藤能彦, 寒川賢治, 松尾壽之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 丸善 1996
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Summary:55名の本態性高血圧症患者を対象に, 血漿ANP,BNP濃度を測定し, 左室肥大との関係について検討した. 安静空腹時の血漿ANP,BNP濃度をラジオイムノメトリックアッセイ法にて測定した. またMモード心エコーにより左室構造の諸指標の計測を行い, 求心性, 遠心性左室肥大に分類した. 平均血漿ANP,BNP濃度は本態性高血圧症患者において健常者に比し有意に高値であった. また, 左室肥大群で血漿ANP,BNP濃度は非肥大群に比し高値であり, 中でも求心性肥大群で遠心性肥大群に比し高値であった. 血漿ANP,BNP濃度は左室重量係数と有意な相関を認め（ANP：r＝0.55, BNP：r＝0.50, 各p＜0.01）, 相対的壁厚, 心室中隔, 左室後壁厚とを有意な正相関を認めた（ANP：r＝0.51, r＝0.56, r＝0.50；BNP：r＝0.69, r＝0.68, r＝0.63, 各p＜0. Ol）. 高血圧は循環器疾患の危険因子として重要で, 中でも左室肥大の合併はハイリスク群と考えられる. 特に求心性左室肥大は, 遠心性左室肥大に比し死亡率, 心血管事故の頻度も高率であると報告されている. 血漿ANP,BNP濃度の測定は簡便で, 高血圧性左室肥大のスクリーニング, 診断, 肥大様式の判定などに有用な検査法である可能性が示唆された.
ISSN:0586-4488