A STUDY ON THE SPATIAL AND TEMPORAL BEHAVIORS OF UNCONFINED GROUNDWATER HEAD-FIELD IN HETEROGENEOUS REGION
In order to analyze the regional groundwater behaviors, we should discuss as primary issues how to estimate and how to understand actual spatial and temporal distributions of hydraulic head of groundwater. For these distributions are treated as the fundamental information in various processes of the...
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Format | Dissertation |
Language | Japanese |
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08.12.1989
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Summary: | In order to analyze the regional groundwater behaviors, we should discuss as primary issues how to estimate and how to understand actual spatial and temporal distributions of hydraulic head of groundwater. For these distributions are treated as the fundamental information in various processes of the analysis, such as the aquifer modeling, the parameter identification, the verification of numerical results. In the investigation of the spatial distribution of head, namely “Head-Field”, however, it is rare to obtain available head data enough for a practical analysis, because observation wells are limited in number and in space. Also, temporal behaviors of head-field are generally complex since the aquifer system is usually heterogeneous and affected by diversely artificial activities. Consequently, it often happens that head data at some observed wells indicate local singular fluctuations, compared with the spatial scale concerned. In particular, the influence of heterogeneity is important in the unconfined case, and head data at some points right after a heavy rainfall are apt to fluctuate independently of each other. The purpose of the present study is to clarify physical structure of producing the randomness of head-field in a heterogeneous region, and to evaluate the uncertainty of head data at observation wells. In this thesis, the behavior of unconfined head-field due to a rainfall event is treated as the physical process in non-stationary random field by combining statistical concepts and physical principles.This thesis consists of the following chapters;Chapter 1: The scope of the problems in this study is demonstrated and the previous researches related to the analysis of heterogeneous aquifer are summarized. In this chapter, it is emphasized that the evaluation of the randomness of head data caused by the heterogeneity of aquifer is very important not only for the nice simulation but also for the better understanding of regional groundwater behaviors. Chapter 2: Through hydrological observations and geological investigations at two experimental basins, the real condition of the heterogeneity in the actual region and the characteristics of fluctuation of the unconfined hydraulic head are discussed. The statistic properties of hydraulic coefficients in the actual aquifer are estimated positively based on field data. The phenomenological discussions on the governing factors of spatial difference of head data are also presented. Chapter 3: The stochastic evaluation of the uncertainty in “randomizing process” of head-field due to a heavy rainfall is presented. Theoretical formulation of head variance which expresses statistically the randomness of the head-field is made based on physical laws with respect to the vertical unsaturated flow and the horizontal groundwater flow. It has been clarified how the head variance depends on both flow properties in the unsaturated zone and in the aquifer, and the fact that head-field has greater variance of its spatial distribution in the silty aquifer than in the sandy aquifer is demonstrated. Chapter 4: The stochastic evaluation of the uncertainty in “smoothing process” of head-field during the long-term recession period after a rainfall is presented. By evaluating the random components of head due to the heterogeneity of aquifer, a theoretical function of head variogram which expresses a spatial structure of head-field is analytically derived from the fundamental flow equations. The unsteady head-field after a rainfall is then stochastically estimated from a limited set of point data by using the Universal Kriging method and theoretical variogram. Through the result of the Kriging analysis, it is shown that the estimation accuracy of head-field is improved gradually with the passage of time after a rainfall. These facts suggest that the significance of the observed head values in the groundwater analyses will change with the temporal and spatial scales of groundwater behaviors. Chapter 5 : The design of observation network of wells for the measurement of hydraulic head in heterogeneous region is discussed, and how to apply the information obtained by the observation to the practical analysis is proposed. In previous researches, the aquifer parameters of simulation models have been identified by a direct comparison of the simulated head values with the observed head data. However, it should be noted that the simulated values are macroscopic solutions, while the observed data include local random components caused by the the heterogeneity of aquifer. To avoid this difficulty, a new criterion for the parameter identification in the unconfined heterogeneous aquifer is proposed. The criterion proposed takes full advantage of the statistical property on uncertainty of actual head behaviors. Chapter 6: The conclusions in the thesis are summarized.沖積平野などの地下帯水層内に貯留された莫大な量の地下水は、利用コストが低いうえ水質や水温の点でも並ぶものの無い良好な水資源であることから、工業用水および水道用水などとして大量に揚水されてきた。しかしながら、地層内における地下水の流動速度は非常に遅いために、揚水できる水量には自ずから限度がある。そこで、広域における地下水資源の量的評価を正しく行なうことによって適正な地下水利用計画を策定し、地盤沈下に代表される地下水障害の発生を未然に防ぐことが強く望まれている。広域地盤における地下水流動の評価は、一般に基礎方程式に基づく数値シミュレーションの手法によって行われる。通常の広域地下水のシミュレーションでは、まず、地層構造とその流れ場に対する多孔体中の流れの支配方程式が記述され、これをあらかじめ設定した初期条件・境界条件の下で対象領域について積分することによって領域内部の地下水位(水頭)が再現されている。その場合、初期条件の設定は領域全体の過去の水位観測値に基づく地下水位分布によって与えられる。また、方程式に含まれるモデルパラメータの同定や解析結果の妥当性の判断は、計算水位と観測水位との適合性に基礎をおいている。このように広域地下水の解析プロセスにおいて、観測井における地下水位の観測データは最も重要かつ基本的な観測情報であるといえる。しかしながら、実際に地下水位が観測できるのはごく限られた井戸地点においてだけであり、さらに、実際の地下水状態は流れ場の不均質性やさまざまな人為的要因のためにきわめて複雑なものであることが多い。したがって、観測水位データの空間的代表性をどのように評価するか、また、数少ない地点データからどれだけの精度で水位の空間分布が推定できるかがシミュレーション全体の精度を決める鍵となるのである。本研究はこうした背景をもった、広域地下水に関する解析精度を向上させるための基礎的研究であり、不均質な流れ場、とくに透水係数や有効間隙率が空間的にランダムに分布するような不均質場における降雨に伴う不圧地下水挙動を対象として、現地観測の結果に基づき水位変動の特性および帯水層の不均質性の実態を示すとともに、流れの力学構造を基礎として地下水状態のランダム性の統計的特性を解析し、観測水位データの空間的代表性の評価ならびに地下水シミュレーションにおける水位データの活用方法について提案を行なったものである。本論文は全体が6章で構成されている。まず第1章では、本研究の背景として地下水をとりまく社会情勢と広域地下水解析に課された社会的責任に触れたのち、その解析手法である地下水シミュレーションの抱える適用上の問題点をモデルの各構成要因ごとに概説した。その結果、広域地下水解析は数多くの未知の要因を内抱しているが、シミュレーションの解析精度の向上を阻む最大の原因は、帯水層の不均質性とそれに起因する観測水位の不確定性を十分に評価し得ないことにあるということが浮き彫りにされた。そこで、流れ場の不均質性が地下水状態に及ぼす影響に関する既往の研究をまとめ、本研究のとるべき立場と目的、ならびに研究の意図するところを示すとともに、研究の全体像について述べた。第2章では、3章以降での解析に先立って研究の対象とする現象を概観するために、実際の流域における不圧地下水位の変動特性と帯水層の不均質特性について、詳細な現地観測を通じて得られた結果を述べた。現地観測を行なった試験流域は洪積台地(流域A)と第三紀丘陵地(流域B)のニヶ所に設定し、主として降雨と地下水位の場所的時間的変動の計測と地盤の水理特性の調査を行なった。はじめに試験流域の地形地質特性と水文観測体制について概説したのち、流れ場の水理特性の不均質性の実態について、単孔式現場透水試験ならびに土壌サンプリング等による透水係数や有効間隙率の空間的変動特性の調査結果をまとめた。その結果、①単孔式現場透水試験による透水係数は場所によって数オーダーの幅をもって変動し、その確率分布は対数正規分布で近似できること。②透水係数のvariogramによれば、少なくとも3km以上離れれば透水係数は互いに空間相関がなくなること(流域A)。③土壌のpF-水分曲線から有効間隙率を求めたところ、その値は10%を平均として5%から20%程度の範囲でばらついていること(流域B)などが明らかとなった。つぎに、不圧地下水位の時間的空間的変動特性について、水位観測結果をもとに現象を短期的な降雨に対する水位応答と長期的な季節変動とに分けて考察した。そして、そうした降雨に伴う不圧地下水位の上昇過程と低減過程を、降雨浸透という外乱による水位分布の"撹乱過程"と無降雨期間での水頭拡散による水位分布の"平準化過程"と位置づけ、それぞれの過程における現象の時間スケールと空間スケールをその支配要因との係わりにおいて論じた。その結果、①降雨に対する地下水状態の応答過程は、降雨後数時間から2~3日後までのきわめて短い時間の現象であり、場の不均質性を強く反映した空間的に局所的なスケールの変動を含んでいること。②降雨後、無降雨期間が長く続くと空間的に凹凸の激しい水面形は側方流動によって平準化する。そして、ローカルなスケールの変動成分はしだいに消滅し、帯水層構造や境界水位の影響を強く受けたマクロな空間スケールの変動が表に現れてくることが明らかとなった。第3章では、降雨によって地下水位の空間分布が凹凸をもった複雑な分布へと撹乱される過程について、雨水浸透による地下水涵養量を不飽和浸透理論に基づいて解析することにより、場の不均質性に起因する降雨に伴う水位応答の不確定性の評価を行なった。まず総論として、対象とする現象が、土中に鉛直浸透した雨水が地下水帯へ供給される不飽和帯での変換と、水平方向に流動している地下水の水位が地下水涵養によって上昇する帯水層での変換、という二つの変換の結果として生じることを述べ、水位応答にランダム性を生む不確定要因をまとめた。そして、雨水浸透による地下水涵養機構について、通常用いられる不飽和浸透理論の有効性を室内実験との比較を通して検討するとともに、なお再現できないいくつかの問題点を指摘した。降雨に対する水位応答特性を調べる意味においては、こうした複雑な不飽和浸透現象をそのまま扱う必要はない。そこで、雨水浸透過程を等価水分分布によって近似し、土壌の不均質性が地下水涵養強度の場所的な分布特性にどのように影響を及ぼすかを定式化した。つぎに、不均質な帯水層における地下水位の降雨に対する確率応答特性を、地下水流の基礎方程式を摂動展開することによって定式化し、種々の地質条件下での涵養強度と水位応答の統計的分散の評価を行なった。その結果、①涵養強度の大きさを支配するような透水性と保水性の卓越度を表わす指標が見いだされた。また、②降雨に対する水位応答は、透水性が低く貯留性も小さい細粒土の帯水層の方が、粗粒土の帯水層に比べて大きな場所的分散をもつことが明らかとなった。第4章では、降雨によって形成されたランダムな水位分布が,無降雨期間において帯水層の水頭拡散により平準化する過程について、水位分布の統計的特性の時間的変化を明らかにするとともに、地点観測データから水位の空間状態を推定する手法の適用を試みた。まず、水位の観測データを確率場における実現値とみなし、地点観測値をもとに非観測地点の状態推定を行う統計的手法(Kriging法)を地下水状態の推定に適用するうえでの問題点を述べた。つぎに、透水係数や有効間隙率が空間的に小さく変化する水平二次元帯水層を対象に、非定常地下水流の基礎方程式をもとに、時間的空間的に変動する地下水状態の統計的空間構造(variogram)を解析的に導出した。理論的に導かれたvariogramの形状は'range'と'sill'をもつもので、降雨後の時間経過に伴い、rangeは徐々に増大、sill は急速に減少することが明らかとなった。また、理論variogramは、第2章で述ベた現地での実測水位データから求められたそれと比較することによって、その妥当性を検証した。そして、そのvariogramを媒介として、Kriging法を現地に適用して地下水状態の空間推定を行ない、地下水状態を考えるうえで地点観測データがもつ意義について考察した。その結果、不圧地下水位の空間状態は、降雨直後には極めて複雑であるものの、無降雨期間の経過に伴って次第に落ち着いたものに変化し、地下水状態を考える上で、観測水位データの空間的代表性は急速に拡大することが示された。第5章では、前章までの成果を踏まえて,不確定性をもつ地下水状態を把捉するための地下水位の観測手法ならびに観測で得られた情報の工学的活用方法について考察した。本研究で対象としているような非定常現象では、地下水位の空間分布は時間的に変動し、そこに含まれるランダム性も時刻とともに変化する。したがって、観測井の本数・配置が同一であっても、そこから得られる情報の精度は現象の変動性に合わせて変化するはずである。本章の前半で、そうした観点に立って、地下水位の観測網のあり方とその観測精度のもつ意味について考察した。後半では,観測された地下水位データの工学的活用の一例として、広域地下水解析におけるパラメータ同定の問題を扱った。不均質場における水位観測データはその地点の局所成分を含んでおり、従来の観測水位と計算水位を単純に比較する同定手法では、逆解析が不安定になるなどパラメータが正しく同定できないことがある。そこで、こうした従来の同定基準のもつ問題点を実例を挙げ指摘したうえで、観測水位の不確定性を統計的分散の形で考慮し、逆解析過程に事前情報として反映させる新たな手法を提案した。その結果、今回提案した水位分散の時間変化に着目した同定基準を用いれば、複数の適切な時間断面で一斉測水を行なうことにより、降雨によって水位分布が大きく乱された不均質帯水層においても、十分な精度でパラメータが同定可能であることが示された。以上、本論文では、降雨に伴う不圧地下水位の時空間変動を二次元確率場における物理過程として取り扱い、統計的な概念と流れの物理的構造とを結合させることによって、不均質場におけるランダムな地下水状態の統計的特性を評価するとともに、数少ない観測井での水位データを、水位の空間分布の客観的推定や地下水解析モデルのパラメータ同定に合理的に活用する手法を提案した。本研究の成果は、広域の不圧地下水の解析過程において、最も重要な観測情報である地下水位データを客観的に評価するにあたっての基礎的指針を示した点で大きな意義をもっている。 |
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Bibliography: | 乙3678 |