蘇苔類に発生した白絹病(新称)
2008年~2010年に長崎県大村市の山野,並びに庭園に生えているコスギゴケ,ハイゴケ,ツルチョウチンゴケ,フデゴケ,ヒメシノブゴケ,エゾスナゴケ,ホソバオキナゴケ,コムチゴケ,ジャゴケ,および島根県出雲市の庭園に植栽してあるセイタカスギゴケの10種の蘇苔類が坪枯れ状となって褐変枯死し,その上にナタネ種子大の褐色球形菌核を認めた。それらの褐変した部分からは白絹病菌様の糸状菌が分離され,その分離菌は馬鈴薯煎汁寒天培地上での生育適温,菌叢の色や形状,主軸菌糸幅,かすがい連結の有無などに関してギンゴケから分離された白絹病菌と一致した。これら蘇苔類からの分離菌は,すべて各宿主蘇苔類に対してギンゴケ白絹...
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Published in | Kyūshū Byōgaichu Kenkyūkaiho Vol. 59; pp. 25 - 30 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
01.11.2013
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ISSN | 0385-6410 |
Cover
Summary: | 2008年~2010年に長崎県大村市の山野,並びに庭園に生えているコスギゴケ,ハイゴケ,ツルチョウチンゴケ,フデゴケ,ヒメシノブゴケ,エゾスナゴケ,ホソバオキナゴケ,コムチゴケ,ジャゴケ,および島根県出雲市の庭園に植栽してあるセイタカスギゴケの10種の蘇苔類が坪枯れ状となって褐変枯死し,その上にナタネ種子大の褐色球形菌核を認めた。それらの褐変した部分からは白絹病菌様の糸状菌が分離され,その分離菌は馬鈴薯煎汁寒天培地上での生育適温,菌叢の色や形状,主軸菌糸幅,かすがい連結の有無などに関してギンゴケから分離された白絹病菌と一致した。これら蘇苔類からの分離菌は,すべて各宿主蘇苔類に対してギンゴケ白絹病菌と同様に病原性を示し,病徴の再現を認め,再分離も可能であった。以上の結果から,坪枯れ症状を呈した10種の蘇苔類から分離された糸状菌は白絹病菌(Sclerotium rolfsii Saccardo)と同定し,各宿主蘇苔類の白絹病(Southern blight)と呼称することを提唱する。 |
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Bibliography: | ZZ00014779 870603 |
ISSN: | 0385-6410 |