南大東島で採集された蚊における鳥マラリア原虫遺伝子の検出

沖縄県南大東島に生息している鳥類に鳥マラリア原虫感染が見られたため、ベクター探索を目的として蚊を採集して原虫保有の有無について調べた。2006年3月から2007年2月までの間、南大東島各所で1264個体、5属9種の蚊が採集された。蚊の種類、採集時期および捕獲地点ごとに1〜5個体をプールしてDNA抽出を行い、鳥マラリア原虫のcytb遺伝子を標的としたneseted PCRを行った。ネッタイイエカ(1.1%)、サキジロカクイカ(20%)、ヒトスジシマカ(1.2%)およびキンイロヌマカの一種(2.8%)の計15サンプルにおいて増幅が見られ、全体の保有率は1.2%であった。また、ヒトスジシマカ、サキジ...

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Published inJournal of veterinary medical science Vol. 70; no. 11; pp. 1205 - 1210
Main Authors 江尻, 寛子, 佐藤, 雪太, 佐々木, 絵美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 01.11.2008
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Summary:沖縄県南大東島に生息している鳥類に鳥マラリア原虫感染が見られたため、ベクター探索を目的として蚊を採集して原虫保有の有無について調べた。2006年3月から2007年2月までの間、南大東島各所で1264個体、5属9種の蚊が採集された。蚊の種類、採集時期および捕獲地点ごとに1〜5個体をプールしてDNA抽出を行い、鳥マラリア原虫のcytb遺伝子を標的としたneseted PCRを行った。ネッタイイエカ(1.1%)、サキジロカクイカ(20%)、ヒトスジシマカ(1.2%)およびキンイロヌマカの一種(2.8%)の計15サンプルにおいて増幅が見られ、全体の保有率は1.2%であった。また、ヒトスジシマカ、サキジロカクイカおよび南大東島のモズから検出された鳥マラリア原虫の塩基配列は100%相同であり、ネッタイイエカから検出された配列はP. gallianceumと100%相同であった。さらに他のネッタイイエカ、キンイロヌマカの一種から検出された配列も既報の鳥マラリア原虫に近縁であった。よって、ヒトスジシマカ、サキジロカクイカ、ネッタイイエカおよびキンイロヌマカの一種が、本島における鳥マラリア原虫のベクターである可能性が示唆された。
Bibliography:763469
ZZ00004754
ISSN:0916-7250