黒毛和種牛の死産/周産期虚弱子牛症候群における胸腺形成不全

• Published in: Journal of veterinary medical science Vol. 70; no. 11; pp. 1173 - 1177
• Main Authors: 高須, 正規, 代田, 欣二, 大場, 恵典
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 01.11.2008
• ISSN: 0916-7250

黒毛和種牛の死産／周産期虚弱子牛症候群の子牛において、易感染性に関与する免疫力の低下と子宮内発育不良の結果である出生時の低体重の関係を調べるために、出生時の体重が20 kg以下の虚弱子牛13頭の胸腺と脾臓を組織学的に検討した。また、胸腺のサイトケラチン染色を行い、それらの胸腺構造を調べた。さらに、死産／周産期虚弱子牛症侯群の胸腺の異常をgrade 0-4の5段階に、脾臓の異常をgrade I-IIIの3段階に分類した。死産／周産期虚弱子牛症候群の内、1頭は星空像を特徴とするgrade 1を、5頭は胸腺の皮質と髄質の比が逆転するgrade 2を、さらに残りの7頭は皮質と髄質の境界が不明瞭なgrade 3および4を示した。Grade 3および4の子牛の胸腺は支持細胞で占められており、ハッサル小体やその他の構造はほとんど認められなかった。死産／周産期虚弱子牛症候群の13頭中6頭の脾臓は、脾細胞数の減少を示すgrade IIまたはIIIであり、それらの白脾髄および赤脾髄領域ははっきりとしなかった。死産／周産期虚弱子牛症候群において、胎子期の成長因子の欠乏による子宮内発育不良が免疫力の低下に関わる胸腺の発育不全を引き起こしたことが示唆され、子宮内発育不良がこの症侯群の易感染性をもたらす免疫力の低下に関与している可能性が考えられた。