Brucella abortus感染による流産におけるRANTESの関与

ブルセラ属菌の感染により、家畜などの動物で流産が起こるが、その詳細な発生メカニズムについては不明な点が多い。本研究では、妊娠マウスを用いた実験系により、ケモカインの一種であるRANTESの動態と、Brucella abortus感染による流産との関連性について検討した。既に流産との関連性が報告されているIFN-γに着目し、妊娠させたIFN-γノックアウトマウスにB. abortusを感染させたところ、感染15日目までにマウスは死亡し、血中RANTES濃度の著しい上昇が認められた。B. abortus感染によるRANTESの濃度上昇は通常のマウスでも認められたが、細胞内増殖能および流産誘発能を欠...

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Published inJournal of veterinary medical science Vol. 70; no. 7; pp. 681 - 686
Main Authors 渡邉, 健太, 岩井, 菜摘, 橘, 理人, 古岡, 秀文, 鈴木, 宏志, 度会, 雅久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 01.07.2008
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Summary:ブルセラ属菌の感染により、家畜などの動物で流産が起こるが、その詳細な発生メカニズムについては不明な点が多い。本研究では、妊娠マウスを用いた実験系により、ケモカインの一種であるRANTESの動態と、Brucella abortus感染による流産との関連性について検討した。既に流産との関連性が報告されているIFN-γに着目し、妊娠させたIFN-γノックアウトマウスにB. abortusを感染させたところ、感染15日目までにマウスは死亡し、血中RANTES濃度の著しい上昇が認められた。B. abortus感染によるRANTESの濃度上昇は通常のマウスでも認められたが、細胞内増殖能および流産誘発能を欠く変異株の感染では、濃度上昇は認められなかった。また、抗IFN-γおよび抗RANTES抗体を感染マウスに投与することで、その濃度上昇は抑えられ、流産胎仔数も有意に減少した。これらの結果から、RANTESはIFN-γと相互に作用し、B. abortus感染による流産の発生に深く関与していることが示唆された。
Bibliography:762074
ZZ00004754
ISSN:0916-7250