IV型アレルギー誘発性化学物質により誘導される樹状細胞の遺伝子発現変動

IV型アレルギー誘発化学物質のin vitro評価系を開発することを目的とし、化学物質感作により樹状細胞株DC2.4細胞に特異的に誘導される遺伝子発現変動の解析を行った。DC2.4細胞を2,4-dinitrochlorobenzene、p-benzoquinoneの二種類のIV型アレルギー誘発化学物質で感作し、マイクロアレイ法で遺伝子発現を解析したところ、どちらの化学物質を感作した場合にも26遺伝子の発現増強、53遺伝子の発現低下がみられた。これらの遺伝子発現変動がIV型アレルギー誘発物質に特異的なものであるかを評価するため、DC2.4細胞をIV型アレルギー誘発物質、I型アレルギー誘発物質なら...

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Published inJournal of veterinary medical science Vol. 70; no. 7; pp. 673 - 680
Main Authors 多良間, 理絵, 加藤, 大智, 石川, 陽一, 宮浦, 英樹, 武吉, 正博, 岩田, 裕之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 01.07.2008
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ISSN0916-7250

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Summary:IV型アレルギー誘発化学物質のin vitro評価系を開発することを目的とし、化学物質感作により樹状細胞株DC2.4細胞に特異的に誘導される遺伝子発現変動の解析を行った。DC2.4細胞を2,4-dinitrochlorobenzene、p-benzoquinoneの二種類のIV型アレルギー誘発化学物質で感作し、マイクロアレイ法で遺伝子発現を解析したところ、どちらの化学物質を感作した場合にも26遺伝子の発現増強、53遺伝子の発現低下がみられた。これらの遺伝子発現変動がIV型アレルギー誘発物質に特異的なものであるかを評価するため、DC2.4細胞をIV型アレルギー誘発物質、I型アレルギー誘発物質ならびに皮膚感作を引き起こさない高分子化合物で感作し、定量RT-PCR法を用いて遺伝子発現変動を解析した。その結果、樹状細胞の成熟過程で細胞表面に発現するプロテオグリカンsyndecan-1(Sdc1)の発現増強、シグナル伝達に関わる膜タンパクsmoothened(SMO)の発現低下が、IV型アレルギー誘発化学物質で感作した場合にのみみとめられた。この結果は、DC2.4細胞におけるSdc1の発現増強およびSMOの発現低下が化学物質のアレルギー誘発性の指標になることを示唆するものであり、IV型アレルギー誘発化学物質のin vitro評価系の開発における標的遺伝子の侯補になると考えられた。
Bibliography:762073
ZZ00004754
ISSN:0916-7250