口蹄疫ウイルスO/JPN/2000のプラッククローン株の性状の比較
口蹄疫ウイルスO/JPN/2000株のウイルス中に明らかに異なる2種類のタイプのウイルスが存在していた。一つはプラック形成能の著しく弱いSmall plaque virus(SPV)で、もう一つが大きいプラックを形成するLarge plaque virus(LPV)であった。プラック形成能に相反して一段増殖試験およびCPE形成能においてはSPVの方がやや優れていた。また、O/JPN/2000株に対するモノクローナル抗体を作製し、SPVおよびLPVに対してスクリーニングをおこなった結果、ウイルス中和試験および免疫染色においてSPVのみを識別することができた。SPVおよびLPVの遺伝子解析の結果、...
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Published in | Journal of veterinary medical science Vol. 70; no. 7; pp. 653 - 658 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
01.07.2008
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Summary: | 口蹄疫ウイルスO/JPN/2000株のウイルス中に明らかに異なる2種類のタイプのウイルスが存在していた。一つはプラック形成能の著しく弱いSmall plaque virus(SPV)で、もう一つが大きいプラックを形成するLarge plaque virus(LPV)であった。プラック形成能に相反して一段増殖試験およびCPE形成能においてはSPVの方がやや優れていた。また、O/JPN/2000株に対するモノクローナル抗体を作製し、SPVおよびLPVに対してスクリーニングをおこなった結果、ウイルス中和試験および免疫染色においてSPVのみを識別することができた。SPVおよびLPVの遺伝子解析の結果、VP2の133番目とVP3の56番目のアミノ酸に相違がみられた。それぞれSPVはAsnとArg、LPVはAspとHisであった。乳飲みマウスに対する病原性はLPVのLD50が10(2)以下であったのに対しSPVでは10(5)以上であった。これらの結果よりSPVの病原性は著しく低いことが推測された。またVP3の56番目アミノ酸に関してHisからArgへの変化は細胞馴化ウイルスで報告されていることから、O/JPN/2000株が典型的な症状を示さなかった一つの要因とも考えられる。 |
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Bibliography: | ZZ00004754 762070 |
ISSN: | 0916-7250 |