ホルスタイン牛の単球マクロファージにおいて,レプチンは炎症性サイトカインやcaspase-1の発現を誘導する

脂肪細胞分泌因子、レプチンは摂食やエネルギー消費のみならず、免疫細胞機能を修飾することが知られる。ウシ単核球(PBMC)をレプチン単独あるいはT細胞マイトージェンCon Aと同時に刺激すると、レプチンはPBMCの増殖を10-40%増大させた。一方、PBMCからTリンパ球を分離し、同様に刺激すると、レプチンはTリンパ球の増殖を抑制したので、レプチンはPBMCに含まれる単球マクロファージなどに作用してTリンパ球増殖因子を産生させる可能性を示した。次に単球マクロファージを分離してサイトカイン遺伝子の発現を調べたところ、多寡はあるものの腫瘍壊死因子TNF-α、インターロイキン(IL)-1β、IL-12...

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Published inJournal of veterinary medical science Vol. 69; no. 5; pp. 509 - 514
Main Authors 山地, 大介, Ahmed, M, Shaban, Z, 岡松, 優子, Soliman, M, Abd Eldaim, M, 石岡, 克己, Makondo, K, 斉藤, 昌之, 木村, 和弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 01.05.2007
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ISSN0916-7250

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Summary:脂肪細胞分泌因子、レプチンは摂食やエネルギー消費のみならず、免疫細胞機能を修飾することが知られる。ウシ単核球(PBMC)をレプチン単独あるいはT細胞マイトージェンCon Aと同時に刺激すると、レプチンはPBMCの増殖を10-40%増大させた。一方、PBMCからTリンパ球を分離し、同様に刺激すると、レプチンはTリンパ球の増殖を抑制したので、レプチンはPBMCに含まれる単球マクロファージなどに作用してTリンパ球増殖因子を産生させる可能性を示した。次に単球マクロファージを分離してサイトカイン遺伝子の発現を調べたところ、多寡はあるものの腫瘍壊死因子TNF-α、インターロイキン(IL)-1β、IL-12p35、IL-12p40、IL-18遺伝子の恒常的な発現が見られた。レプチンを作用させるとTNF-αとIL-12p40 mRNAの発現が増大したが、他の遺伝子の発現は変化しなかった。TNF-αの分泌量を調べると、実際に培養液中の濃度が増加した。また培養液中のIL-1β濃度が増大した。そこで伏在性のpro-IL-1βやpro-IL-18を活性型に分解させるタンパク分解酵素caspase-1の発現について調べたところ、レプチンによってその遺伝子の発現が増大した。これらの結果より、レプチンは単球マクロファージに作用しIL-12p35/p40の複合体形成や活性型IL-1β/IL-18を分泌させTリンパ球の増殖を促進すると考えられた。
Bibliography:742608
ZZ00004754
ISSN:0916-7250