ラットパイエル板の濾胞被蓋上皮におけるM細胞の分化および運命に関する超微形態学的研究

粘膜リンパ組織の濾胞被蓋上皮(FAE)における未成熟な微絨毛円柱上皮細胞からM細胞への分化過程およびM細胞の運命についてまだ明らかではない。本研究ではこの分化過程およびM細胞の運命について、ラットのパイエル板のFAEで透過型電子顕微鏡的に明らかにした。ほとんどの未成熟な上皮細胞は長くて細い微絨毛を有しており、腸陰窩開口部から移動するにつれて、次第に微絨毛が短くて太く、疎になった。この形態学的変化は上皮細胞の遊離面の中央から辺縁に向かって始まり、これに付随して端網から遊離縁側の細胞質が隆起した。この変化の間、微絨毛の微細線維束は短くならず、遊離縁側の細胞質内には微細小胞が、また遊離縁の細胞膜には...

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Published inJournal of veterinary medical science Vol. 69; no. 5; pp. 501 - 508
Main Authors 大西, 佐知子, 横山, 俊史, 陳, 慶義, 湯地, みどり, 稲元, 哲朗, 斉, 旺梅, 割田, 克彦, 星, 信彦, 北川, 浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 01.05.2007
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ISSN0916-7250

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Summary:粘膜リンパ組織の濾胞被蓋上皮(FAE)における未成熟な微絨毛円柱上皮細胞からM細胞への分化過程およびM細胞の運命についてまだ明らかではない。本研究ではこの分化過程およびM細胞の運命について、ラットのパイエル板のFAEで透過型電子顕微鏡的に明らかにした。ほとんどの未成熟な上皮細胞は長くて細い微絨毛を有しており、腸陰窩開口部から移動するにつれて、次第に微絨毛が短くて太く、疎になった。この形態学的変化は上皮細胞の遊離面の中央から辺縁に向かって始まり、これに付随して端網から遊離縁側の細胞質が隆起した。この変化の間、微絨毛の微細線維束は短くならず、遊離縁側の細胞質内には微細小胞が、また遊離縁の細胞膜には微小陥凹がみとめられた。また、上皮内遊走細胞が次第に集積し、典型的な上皮内ポケットが形成された。すべてのFAEでM細胞の細胞死を示す兆候はなかった。微細線維束の再配列と微絨毛の再形成がおこなわれるとともに、ポケットの消失が起こり、M細胞が微絨毛円柱上皮細胞へと形態変化した。以上の一連の超微形態学的変化から、M細胞は腸管内腔の物質の盛んな取り込みによって起こる一過性の細胞型であり、取り込みが停止することによって、M細胞から成熟した微絨毛円柱上皮細胞へ形態変化を引き起こすことが示唆された。
Bibliography:742607
ZZ00004754
ISSN:0916-7250