マウス食道の迷走神経性収縮に対するカプサイシンの抑制作用は粘膜層に分布する1次知覚神経を介する

迷走神経によって誘発される食道横紋筋の収縮は、カプサイシンによって抑制される。カプサイシンは、TRPV1(transient receptor potential ion channel of the vanilloid type 1)を発現するタキキニン作動性1次知覚神経を刺激し、一酸化窒素を産生する内在神経を経由して抑制作用を発揮すると考えられている。この1次知覚神経の終末は、内在神経叢の神経節と粘膜に分布している。本研究では、カプサイシンの抑制作用に、粘膜層に存在する1次知覚神経の終末が必須であるか否かを検討した。実験にはマウスの食道標本を用い、輪走方向の収縮を張力トランスデューサで記録...

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Published inJournal of veterinary medical science Vol. 69; no. 4; pp. 365 - 372
Main Authors 椎名, 貴彦, Boudaka, A, Woerl, J, 斉藤, 正一郎, 阿閉, 泰郎, 小林, 晴男, 志水, 泰武, 武脇, 義
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 01.04.2007
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ISSN0916-7250

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Summary:迷走神経によって誘発される食道横紋筋の収縮は、カプサイシンによって抑制される。カプサイシンは、TRPV1(transient receptor potential ion channel of the vanilloid type 1)を発現するタキキニン作動性1次知覚神経を刺激し、一酸化窒素を産生する内在神経を経由して抑制作用を発揮すると考えられている。この1次知覚神経の終末は、内在神経叢の神経節と粘膜に分布している。本研究では、カプサイシンの抑制作用に、粘膜層に存在する1次知覚神経の終末が必須であるか否かを検討した。実験にはマウスの食道標本を用い、輪走方向の収縮を張力トランスデューサで記録した。迷走神経刺激(30μsec、25V、1-50Hz、1秒間)により、標本には単収縮が誘発され、収縮の大きさは刺激頻度に依存した。この収縮はツボクラリン(5μM)により抑制され、アトロピン(1μM)やヘキサメソニウム(100μM)には影響を受けなかった。カプサイシン(30μM)は、迷走神経による収縮を抑制したが、この抑制は粘膜を除去した標本では観察されなかった。また、粘膜にはTRPV1陽性神経線維が存在していた。これらの結果から、カプサイシンは粘膜層に分布する1次知覚神経を介してマウス食道横紋筋の迷走神経性収縮を抑制することが明らかとなった。
Bibliography:742581
ZZ00004754
ISSN:0916-7250