ウシ卵管上皮におけるヒアルロン酸受容体CD44の同定

ヒアルロン酸は雌生殖器における精子貯蔵、受精、および初期胚発生などの生殖現象に関わるが、その細胞表面受容体CD44を介して機能すると予想される。本研究はCD44分子のウシ卵管上皮における存在と局在について免疫組織学およびウエスタンブロット法により解析した。組織切片および上皮抽出物は発情期および黄体期のウシの子宮卵管接合部、狭部および膨大部から採取した。免疫組織の結果ではCD44は上皮細胞の核近傍および管腔側に発現することが観察された。子宮卵管接合部の上皮細胞では細胞質全体が陽性反応を示した。また、反応は発情期、黄体期で相違は見られなかった。ウエスタンブロット法では卵管上皮に200 kDaの単独...

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Published inThe Journal of reproduction and development Vol. 51; no. 4; pp. 445 - 453
Main Authors Bergqvist, A.S, 横尾, 正樹, Bage, R, 佐藤, 英明, Rodriguez-Martinez, H
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 01.08.2005
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Summary:ヒアルロン酸は雌生殖器における精子貯蔵、受精、および初期胚発生などの生殖現象に関わるが、その細胞表面受容体CD44を介して機能すると予想される。本研究はCD44分子のウシ卵管上皮における存在と局在について免疫組織学およびウエスタンブロット法により解析した。組織切片および上皮抽出物は発情期および黄体期のウシの子宮卵管接合部、狭部および膨大部から採取した。免疫組織の結果ではCD44は上皮細胞の核近傍および管腔側に発現することが観察された。子宮卵管接合部の上皮細胞では細胞質全体が陽性反応を示した。また、反応は発情期、黄体期で相違は見られなかった。ウエスタンブロット法では卵管上皮に200 kDaの単独のバンドとして固定された。なお、CD44は卵管全体に分布したが、精子貯蔵部位(子宮卵管接合部)で強く発現していた。今回の報告はウシ卵管にCD分子を同定した初めての報告であり、卵管におけるヒアルロン酸の作用機序を明らかにする一助となると考える。
Bibliography:ZZ00014744
721374
ISSN:0916-8818