ブタ生体回収由来ガラス化胚の生存性の改善

ブタ桑実胚のガラス化法の開発を目的に、冷却速度が異なる3種類のガラス化法を比較した(実験1)。また、胚の細胞質内脂肪顆粒除去処理がガラス化保存後の生存性に及ぼす影響を調べた(実験2)。実験1では、0.25mlプラスチックストロー(S)法、ゲルローディングチップ(GL)法ならびにクライオトップによる最少容量冷却(MVC)法を用いて桑実胚をガラス化保存後、シュクロース液を用いて段階的に耐凍剤を除去した。実験2では、7.5μg/mlサイトカラシンB液に浸漬した胚を12000×gで20分間の遠心分離することにより、細胞質内脂肪顆粒を局在化させ、顕微操作によってこれらの脂肪顆粒を除去した。これらの脂肪除...

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Published inThe Journal of reproduction and development Vol. 50; no. 4; pp. 481 - 486
Main Authors 牛島, 仁, 吉岡, 裕樹, 江崎, 律子, 高橋, 圭二, 桑山, 正成, 中根, 崇, 長嶋, 比呂志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 01.08.2004
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ISSN0916-8818

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Summary:ブタ桑実胚のガラス化法の開発を目的に、冷却速度が異なる3種類のガラス化法を比較した(実験1)。また、胚の細胞質内脂肪顆粒除去処理がガラス化保存後の生存性に及ぼす影響を調べた(実験2)。実験1では、0.25mlプラスチックストロー(S)法、ゲルローディングチップ(GL)法ならびにクライオトップによる最少容量冷却(MVC)法を用いて桑実胚をガラス化保存後、シュクロース液を用いて段階的に耐凍剤を除去した。実験2では、7.5μg/mlサイトカラシンB液に浸漬した胚を12000×gで20分間の遠心分離することにより、細胞質内脂肪顆粒を局在化させ、顕微操作によってこれらの脂肪顆粒を除去した。これらの脂肪除去胚、無処置の桑実胚ならびに胚盤胞をMVC法でガラス化保存した。ガラス化保存胚の加温後の胚盤胞への発生率は、S法が20%(6/30)、GL法が39%(18/46)、MVC法が60%(26/43)であった。脂肪除去処置により、ガラス化桑実胚の加温後の生存性(95%、35/37)は、無処置のガラス化桑実胚(24/42、57%、P<0.05)ならびに胚盤胞(23/31、74%、P<0.05)より向上した。さらに、脂肪除去処置ガラス化胚から発達した胚盤胞の平均細胞数(92±25)は、非ガラス化桑実胚由来のそれ(103±31)と同等であった。以上の実験から、MVC法によるガラス化法と脂肪除去を組み合わせることにより、ブタ桑実胚がガラス化保存後に高い生存性を示すことが明らかとなった。
Bibliography:ZZ00014744
700562
ISSN:0916-8818