MAPキナーゼおよびプロテインチロシンホスファターゼの顆粒膜細胞における役割

性周期において多くの卵胞は、発育・成熟途中で顆粒膜細胞のアポトーシスを起こし閉鎖に陥り退縮する。従って、顆粒膜細胞の生存・死の制御は、卵胞の発育・閉鎖の仕組みを知る上で非常に重要といえる。現在までに、卵胞刺激ホルモン、増殖因子、サイトカインをはじめ様々な因子が、卵胞の発育・閉鎖、あるいは顆粒膜細胞の生存・死に関わることが知られている。しかし、これら因子の顆粒膜細胞における細胞内シグナル経路の研究は極めて遅れているのが現状である。本総説では、顆粒膜細胞の生存・死の制御におけるMiogen-acivaed proein(MAP)キナーゼおよびプロテインチロシンホスファターゼ(PP)の役割について、...

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Published inThe Journal of reproduction and development Vol. 50; no. 1; pp. 47 - 55
Main Authors 田村, 真理子, 中川, 嘉, 清水, 英寿, 山田, 律彰, 宮野, 隆, 宮崎, 均
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 01.02.2004
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ISSN0916-8818

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Summary:性周期において多くの卵胞は、発育・成熟途中で顆粒膜細胞のアポトーシスを起こし閉鎖に陥り退縮する。従って、顆粒膜細胞の生存・死の制御は、卵胞の発育・閉鎖の仕組みを知る上で非常に重要といえる。現在までに、卵胞刺激ホルモン、増殖因子、サイトカインをはじめ様々な因子が、卵胞の発育・閉鎖、あるいは顆粒膜細胞の生存・死に関わることが知られている。しかし、これら因子の顆粒膜細胞における細胞内シグナル経路の研究は極めて遅れているのが現状である。本総説では、顆粒膜細胞の生存・死の制御におけるMiogen-acivaed proein(MAP)キナーゼおよびプロテインチロシンホスファターゼ(PP)の役割について、著者等の最近の知見をもとに解説する。MAPキナーゼは、一般に生存、増殖、死などの細胞の基本応答に密接に関わる。またPPは、この細胞の生存に深く関与するプロテインチロシンキナーゼの逆反応を司る酵素として、卵胞発育にとって重要な細胞制御分子と考えられる。従って、顆粒膜細胞におけるMAPキナーゼやPPの研究は、卵胞の運命決定の分子メカニズムを理解する上で、重要な知見を提供する。
Bibliography:ZZ00014744
690398
ISSN:0916-8818