ホソメコンブ配偶体の生長・成熟に及ぼす窒素・リンの影響

ホソメコンブの遊走子を異なる硝酸態窒素(0~100μM)およびリン酸態リン濃度(0~100μM)の人工海水中で培養し、生長や成熟に及ぼす影響を調べた。雌性配偶体は硝酸およびリン濃度がそれぞれ5.0μM、1.0μM以上の場合に成熟し、胞子体を形成した。この濃度は配偶体世代から胞子体世代へ移行する際の閾値を示している。しかし、これは窒素とリンの制限を同時に受けている場合の値であり、どちらか一方が十分に供給されると、それぞれの閾値は1.0μM、0.5μMへ低下した。このことは、閾値は制限する栄養塩が複数の場合、その相乗作用によって変動することを示している。また、貧栄養海水および5段階の栄養塩添加海水...

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Published inSuisan Zoshoku Vol. 49; no. 2; pp. 175 - 180
Main Authors 水田, 浩之, 鳴海, 日出人, 山本, 弘敏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 01.06.2001
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Summary:ホソメコンブの遊走子を異なる硝酸態窒素(0~100μM)およびリン酸態リン濃度(0~100μM)の人工海水中で培養し、生長や成熟に及ぼす影響を調べた。雌性配偶体は硝酸およびリン濃度がそれぞれ5.0μM、1.0μM以上の場合に成熟し、胞子体を形成した。この濃度は配偶体世代から胞子体世代へ移行する際の閾値を示している。しかし、これは窒素とリンの制限を同時に受けている場合の値であり、どちらか一方が十分に供給されると、それぞれの閾値は1.0μM、0.5μMへ低下した。このことは、閾値は制限する栄養塩が複数の場合、その相乗作用によって変動することを示している。また、貧栄養海水および5段階の栄養塩添加海水中で光量(0.76、7.74and14.8μE/m2/s)および水温(5~15℃)の影響を調べたところ、貧栄養あるいは低光量がそれぞれ単独に配偶体の生長・成熟を遅らせた。この結果は、栄養塩の体内への蓄積と積算光量がホソメコンブの配偶体の生長・成熟を制御していることを示している。
Bibliography:631586
ZZ00008678
ISSN:0371-4217