9 二酸化塩素スプレーの蚊に対する忌避作用について
蚊やダニに対する忌避剤として今日, 広くDEETが市販・使用されている. 我々は今般, 人体に対する毒性が低く, 抗ウイルス・抗細菌作用がある物質として, 二酸化塩素(ClO2)を見いだしている. 水溶性スプレーとしてすでに市販化されているこの物質に, 蚊に対する忌避作用があるかもしれないと考え, 以下の実験を行なった. 麻酔をしたマウスに可溶化した二酸化塩素をスプレーし, ハマダラカに自由に吸血させた. 対照として麻酔したマウスに水をスプレーし, ハマダラカに自由に吸血させた. 使用したハマダラカにはあらかじめネズミマラリアを感染させておいた. すると二酸化塩素をスプレーしたマウス群は水をス...
Saved in:
Published in | Medical Entomology and Zoology Vol. 61; no. 2; p. 160 |
---|---|
Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本衛生動物学会
15.06.2010
The Japan Society of Medical Entomology and Zoology |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0424-7086 |
Cover
Summary: | 蚊やダニに対する忌避剤として今日, 広くDEETが市販・使用されている. 我々は今般, 人体に対する毒性が低く, 抗ウイルス・抗細菌作用がある物質として, 二酸化塩素(ClO2)を見いだしている. 水溶性スプレーとしてすでに市販化されているこの物質に, 蚊に対する忌避作用があるかもしれないと考え, 以下の実験を行なった. 麻酔をしたマウスに可溶化した二酸化塩素をスプレーし, ハマダラカに自由に吸血させた. 対照として麻酔したマウスに水をスプレーし, ハマダラカに自由に吸血させた. 使用したハマダラカにはあらかじめネズミマラリアを感染させておいた. すると二酸化塩素をスプレーしたマウス群は水をスプレーしたマウス群に比べ, 吸血したハマダラカ数の減少を記録した(P<0.05). またハマダラカの吸血の後マラリアを発症するマウスを認めたが, 二酸化塩素をスプレーしたマウス群では対照群に比べ, マラリア発症マウスが有意に少なかった(P<0.05). 以上より二酸化塩素スプレーは, ハマダラカに対し忌避作用を有すると結論した. |
---|---|
ISSN: | 0424-7086 |