5. 口腔乾燥症(ドライマウス)と口臭症-その原因と治療法について

近年, 種々のストレスの増大, 高年齢化, 疾病構造の変化, 食生活の変化および清潔認識の高揚等に伴い, 口腔乾燥症(ドライマウス)や口臭に悩む人が増加している. また, それらがテレビや週刊誌等のマスメディアでも取り挙げられることが多く, 社会的な関心も高くなっている. 口腔乾燥症は, 文字通り「口が渇く」ことを主訴とするが, 「話しづらい」「食べ物が飲み込みにくい」などQOLに影響を及ぼす. 高校生のアンケート調査から, 口腔乾燥症はう触数や肥満と関連のあることも示唆された. 口腔乾燥症の原因としては, シエーグレン症候群など全身性疾患と同様に, 薬剤に起因するものが多く, 健康管理上留意...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 48; no. 1; p. 18
Main Authors 小田正秀, 堤明純, 山田隆子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本産業衛生学会 20.01.2006
公益社団法人日本産業衛生学会
Japan Society for Occupational Health
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ISSN1341-0725

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Summary:近年, 種々のストレスの増大, 高年齢化, 疾病構造の変化, 食生活の変化および清潔認識の高揚等に伴い, 口腔乾燥症(ドライマウス)や口臭に悩む人が増加している. また, それらがテレビや週刊誌等のマスメディアでも取り挙げられることが多く, 社会的な関心も高くなっている. 口腔乾燥症は, 文字通り「口が渇く」ことを主訴とするが, 「話しづらい」「食べ物が飲み込みにくい」などQOLに影響を及ぼす. 高校生のアンケート調査から, 口腔乾燥症はう触数や肥満と関連のあることも示唆された. 口腔乾燥症の原因としては, シエーグレン症候群など全身性疾患と同様に, 薬剤に起因するものが多く, 健康管理上留意すべき点であることが分かった. 口腔乾燥のケアにより, 感染症や潰瘍をはじめとするさまざまな口腔内疾患が改善するが, 口腔乾燥症は水分摂取, 口呼吸, いびき, 睡眠時無呼吸症候群, 室内環境など日常生活もしくは関連疾患と関連していることから, これらへのアプローチが, 本症の予防に寄与することが分かった. 口輪筋や舌の筋力アップは効果があり, その簡単な指導法が教示された. 口臭症も自覚的な悩みの大きい症状である. 原因としては, 歯周病のほかう触や舌苔をはじめ, 口腔乾燥症や心理的な緊張感も関与することが示唆されている. 舌苔の予防法(ブラッシング)や, 口腔内における舌の運動などに気を配ることで症状が寛解することが示された. 口腔乾燥症や口臭症に限らず, 口腔疾患は作業関連疾患である可能性, タバコなどの生活習慣や疲労との関連があること, ひいては医療費増大に関わる経済的な影響があること, などがうかがわれ, 今後の産業保健活動において積極的に考慮されるべき健康課題として理解が深まったワークショップであった.
ISSN:1341-0725