高画素電子内視鏡と青色レーザーを用いた蛍光診断の試み
【目的】消化器内視鏡における光の応用として, 治療面では赤い光(630nmのレーザー光)を用いたPDT(photodynamic therapy:光線力学的療法)が保険認可され, 多くの施設で臨床応用されている. 診断面では, 青色または赤色の励起光を用いた自家蛍光の検出, あるいは各種の腫瘍集積性蛍光物質を利用した様々な蛍光診断の試みが行われている. しかし蛍光診断には高価で特別な装置が必要で, 臨床応用できる施設は限られていた. 最近, 内視鏡機器およびレーザー機器の進歩によって, 同時式原色フィルターを用いた高画素電子内視鏡や青色レーザー(405nm)等が開発され, 消化器内視鏡における...
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Published in | 日本レーザー医学会誌 Vol. 24; no. 3; p. 245 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本レーザー医学会
28.09.2003
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Summary: | 【目的】消化器内視鏡における光の応用として, 治療面では赤い光(630nmのレーザー光)を用いたPDT(photodynamic therapy:光線力学的療法)が保険認可され, 多くの施設で臨床応用されている. 診断面では, 青色または赤色の励起光を用いた自家蛍光の検出, あるいは各種の腫瘍集積性蛍光物質を利用した様々な蛍光診断の試みが行われている. しかし蛍光診断には高価で特別な装置が必要で, 臨床応用できる施設は限られていた. 最近, 内視鏡機器およびレーザー機器の進歩によって, 同時式原色フィルターを用いた高画素電子内視鏡や青色レーザー(405nm)等が開発され, 消化器内視鏡における新たな光の応用が可能になった. そこで高画素電子内視鏡と青色レーザーを用いた新しい蛍光診断法を開発し, 臨床応用を試みた. 【方法】波長405nm, 出力20mWの青色半導体レーザーprototype(エムアンドエム社)および, 85万画素上部消化管拡大電子内視鏡(EG485ZH改良型, FTS社)を用いてフォトフリン(PHE)の蛍光観察を行い, 蛍光診断が可能な電子内視鏡の至適光量等についての基礎検討を行った. 濁協医科大学病院に入院してPDTを施行する予定の胃癌患者のうち, エキシマダイレーザー(EDL)を照射する前に青色レーザー照射による蛍光診断を行うことについて十分な説明を行い, その同意が得られた4人(男性3人, 女性1人)を対象とした. PHE(2mg/kg)静注48時間後に高画素電子内視鏡による観察に引き続き, 病巣中心付近および正常粘膜との境界部に青色レーザーを径内視鏡的に照射して蛍光の観察を行い, 静止画像を保存するとともに動画像をデジタルビデオに録画した. それらの画像を, 後日複数の内視鏡医がチェックして, この新しい方法による蛍光診断の可能性について検討した. 【成績考察】PHEを染みこませたスポンジに青色レーザーを照射すると, フィルター越しに肉眼で赤色蛍光が観察された. 電子内視鏡を通しての観察では, 照明光を消した場合だけでなく弱めの照明光の場合でも蛍光観察が可能であった. PDT施行前の対象患者4人4病変いずれにおいても, 病巣部分で内視鏡的に赤色蛍光が観察された. EG485ZH改良型は原色フィルターを用いているため, 各種のレーザー照射中も観察が可能であり, 光量が無段階に調整できるため, 特別な装置なしで病巣からの微弱な蛍光観察も行えた. 蛍光観察のみで病変の境界を特定するまでには至らなかったが, 蛍光観察と同時に内視鏡的形態観察も可能であった. 【結論】高画素電子内視鏡と青色レーザーを用いた新しい蛍光診断法は, PDT施行直前に手軽に行える診断法である. 今後, 他の腫瘍集積性蛍光物質を用いての検討も行う予定である. |
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ISSN: | 0288-6200 |