NO.4 nano-LC-Q-TOF-MS/MS法によるラット脳領域別プロテオミクス解析

脳は領域によって異なる機能をもっており, 特定の領域での損傷が特異的な機能障害を起こすことが知られている. しかしながら, それぞれの領域における分子レベルの解析はほとんど進んでいない. 近年, プロテオミクスの発展により, 臓器の全体像を分子レベルで解明することが可能となった. そこで, 本研究ではSDS-PAGEとnano-LC-Q-TOF-MS/MSを組み合わせ, ラット脳の視床・海馬・前頭葉・頭頂葉・後頭葉・扁桃体の6領域について網羅的プロテオミクス解析を行った. その結果, 領域全体で3717ペプチド断片のアミノ酸配列の決定に成功し1288種類のタンパク質を同定した. また, ウエス...

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Published in山口医学 Vol. 56; no. 3; p. 92
Main Authors 片桐友樹, 波多野直哉, 泉友則, 前川剛志, 劉穎, 中村彰治, 白井睦訓, 水上洋一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 30.06.2007
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Summary:脳は領域によって異なる機能をもっており, 特定の領域での損傷が特異的な機能障害を起こすことが知られている. しかしながら, それぞれの領域における分子レベルの解析はほとんど進んでいない. 近年, プロテオミクスの発展により, 臓器の全体像を分子レベルで解明することが可能となった. そこで, 本研究ではSDS-PAGEとnano-LC-Q-TOF-MS/MSを組み合わせ, ラット脳の視床・海馬・前頭葉・頭頂葉・後頭葉・扁桃体の6領域について網羅的プロテオミクス解析を行った. その結果, 領域全体で3717ペプチド断片のアミノ酸配列の決定に成功し1288種類のタンパク質を同定した. また, ウエスタンブロットの結果はプロテオミクス解析のデータとよく一致していた. 各領域特異的なタンパク質がすべての領域で100種類以上明らかになり, 同定されたタンパク質と各領域の機能との関連について考察する.
ISSN:0513-1731