45. 中国石綿工場の労働衛生管理状況

中国の某石綿工場の労働衛生管理上の問題点を整理した. 原料部門では清掃や整頓が不十分で床には石綿が堆積し, 石綿袋が山積みであった. 開放した窓の下では構内住宅の子供が遊んでいた. 繊維製品製造部門では梳綿機の吸塵口は配管からはずれ, 紡織機のフードの蓋は開けたままであり, 排気管の開閉器は閉じられていた. 石綿セメント部門では検品作業者がタバコをくわえて作業していた. 全体的に保護具は布マスクだけで, 私服で作業し, そのまま構内住宅で家族と昼食を摂っていた. 主要部門に設置された吸引排気装置は10年以上運転使用されず, 集塵室は倉庫に転用されていた. 同工場は現場の5Sなど安全衛生の基本的...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 50; no. 2; p. 72
Main Authors 矢野栄二, 小西淑人, 米山玲児, 王暁蓉, 王綿珍, 王治明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本産業衛生学会 20.03.2008
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Summary:中国の某石綿工場の労働衛生管理上の問題点を整理した. 原料部門では清掃や整頓が不十分で床には石綿が堆積し, 石綿袋が山積みであった. 開放した窓の下では構内住宅の子供が遊んでいた. 繊維製品製造部門では梳綿機の吸塵口は配管からはずれ, 紡織機のフードの蓋は開けたままであり, 排気管の開閉器は閉じられていた. 石綿セメント部門では検品作業者がタバコをくわえて作業していた. 全体的に保護具は布マスクだけで, 私服で作業し, そのまま構内住宅で家族と昼食を摂っていた. 主要部門に設置された吸引排気装置は10年以上運転使用されず, 集塵室は倉庫に転用されていた. 同工場は現場の5Sなど安全衛生の基本的な活動が欠如している. しかしせっかくの排気設備の停止などを見ると, まず工場全体の労働衛生に対する姿勢の根源的な転換が必要であろう. 一方, 職住近接による様々な家族曝露は, より広範な問題発生の可能性を示唆している.
ISSN:1341-0725