5.脊椎脊髄疾患における傍脊柱筋伸張反射のT波による評価

姿勢異常や起立姿勢保持に障害を来たす疾患において, 体幹における姿勢調節機構の破綻を評価する目的で, 脊柱起立筋の伸張反射をT波として電気的に記録し, 正常人のそれと比較検討した. 方法は, 筋電計に連動させた電動ハンマーにより, 脊柱棘突起間部正中を叩打し, 叩打レベルの両側傍脊柱上畔に左右対称的に置いた表面電極により, 相動性伸張反射をT波として記録した. 叩打は一定の強さで行い, 32~64回の結果を加算処理した. 健常例のT波は, 直立位にて左右ほぼ対称的であり, 特発性側彎の大部分は, 凸側で振幅がより大きい. そしてこの非対称は彎曲による二次的変化でない可能性がある. その理由は,...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 21; no. 6; p. 408
Main Authors 森沢豊, 山本博司, 谷俊一, 貞広哲郎, 中谷孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.01.1984
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Summary:姿勢異常や起立姿勢保持に障害を来たす疾患において, 体幹における姿勢調節機構の破綻を評価する目的で, 脊柱起立筋の伸張反射をT波として電気的に記録し, 正常人のそれと比較検討した. 方法は, 筋電計に連動させた電動ハンマーにより, 脊柱棘突起間部正中を叩打し, 叩打レベルの両側傍脊柱上畔に左右対称的に置いた表面電極により, 相動性伸張反射をT波として記録した. 叩打は一定の強さで行い, 32~64回の結果を加算処理した. 健常例のT波は, 直立位にて左右ほぼ対称的であり, 特発性側彎の大部分は, 凸側で振幅がより大きい. そしてこの非対称は彎曲による二次的変化でない可能性がある. その理由は, 非対称の程度が側彎度と相関が低いこと, inverted rotationを呈するものや, 脚長差による側彎では逆に凹側で振幅がより大きいこと, 健常例のdynamic lateral bending(腹臥位にてactiveに側屈させた場合)で, 浅層筋と深層筋との間にreciprocalな関係があることである. 間欠性跛行を伴う腰部脊柱管狭窄では, 直立位での経時的検査で, 下肢症状の増悪に伴ってT波の振幅は増大です. そのメカニズムは不明だが, 間欠性跛行の客観的評価法となり得る. この検査法は, リハビリテーション分野においても, 姿勢異常の評価やその訓練効果の判定等にも, 今後の応用範囲は広いと思われる. 質問 名古屋大 伊藤不二夫:(1)浅層と深層とで伸張反射が異なるが, 何故か?浅層はlateral bendingに働き, 深層はrotationとして働くと思われるが, 同側の浅層と深層はcontractionをしているのか, それともstretchされているのか. 答 谷俊一:立位でのpendingでは傍脊柱筋の浅層および深層筋の両者とも筋がstretchされる側でresponseは大きくなったと考える. 腹臥位でのactiveなbendingでは, 浅層筋がactiveに収縮してへるために凹側でresponseが大きくなり, 深層筋は, 立位でのbendingと同様, stretchされる凸側でresponseが大きくなると考えられる.
ISSN:0034-351X