3. 複視および視野障害に視覚認知障害を合併した1例

【はじめに】眼球運動障害, 同名半盲による複視, 視野障害に視覚認知障害をきたした1例を経験したので報告する. 【症例】66歳, 男性, 梨園経営者. 2003年12月19日視力障害様の症状があり, その後急速な意識レベルの低下にて救急病院へ搬送された. 脳血管撮影にて脳底動脈先端部閉塞があり血栓溶解療法施行し再開通したものの右後大脳動脈領域の閉塞症をきたしていた. その後保存的治療により生活はほぼ自立可能となったが, 複視のための歩行困難があり, リハビリテーションの施行ができなかった. 2004年3月16日当院へリハ目的にて入院となる. 入院時自分の病室に戻れないなどの地誌的障害が目立ち,...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 41; no. 12; p. 884
Main Authors 山崎裕子, 池野幸一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.2004
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Summary:【はじめに】眼球運動障害, 同名半盲による複視, 視野障害に視覚認知障害をきたした1例を経験したので報告する. 【症例】66歳, 男性, 梨園経営者. 2003年12月19日視力障害様の症状があり, その後急速な意識レベルの低下にて救急病院へ搬送された. 脳血管撮影にて脳底動脈先端部閉塞があり血栓溶解療法施行し再開通したものの右後大脳動脈領域の閉塞症をきたしていた. その後保存的治療により生活はほぼ自立可能となったが, 複視のための歩行困難があり, リハビリテーションの施行ができなかった. 2004年3月16日当院へリハ目的にて入院となる. 入院時自分の病室に戻れないなどの地誌的障害が目立ち, また半側空間無視などの視空間認知障害や同名半盲, 眼球運動障害も認めた. 歩行は大脳性失調性歩行であった. 複視に対し片眼遮断にて歩行訓練, 視覚認知訓練を開始, 視野障害や半側空間無視に対しても病棟でトイレ, 自室などの目印を大きくし場所を認識させた. 自分の病室まで帰れるようになり視空間認知も改善したが実用には至っていない.
ISSN:0034-351X