2. Buerger病の経過中にうっ血性心不全を発症した一症例

症例は56歳男性. 30歳でBuerger病と診断された. 31歳で右下肢切断術, 37歳で左下肢切断術, 46歳で左手指第II指切断術を受けた. また37歳で陳旧性前壁中隔心筋梗塞を指摘され, 53歳で糖尿病の加療を開始されたがコントロール不良の状態であった. 56歳でBuerger病の疼痛管理目的にて当科入院となったが, 心不全が悪化し内服を開始した. その約2ヶ月後, 食欲低下のためインスリンを自己中止しており, その後リハビリ先の病院で呼吸状態悪化を指摘され当院へ搬送された. 低栄養, 脱水, 乏尿, 低血圧がみられ, 心エコー上新たな心筋梗塞の発症はなかったがうっ血性心不全の状態であ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 55; no. 4; p. 391
Main Authors 伊藤奈穂美, 久保和宏, 肥塚史郎, 齋藤繁, 後藤文夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.11.2005
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は56歳男性. 30歳でBuerger病と診断された. 31歳で右下肢切断術, 37歳で左下肢切断術, 46歳で左手指第II指切断術を受けた. また37歳で陳旧性前壁中隔心筋梗塞を指摘され, 53歳で糖尿病の加療を開始されたがコントロール不良の状態であった. 56歳でBuerger病の疼痛管理目的にて当科入院となったが, 心不全が悪化し内服を開始した. その約2ヶ月後, 食欲低下のためインスリンを自己中止しており, その後リハビリ先の病院で呼吸状態悪化を指摘され当院へ搬送された. 低栄養, 脱水, 乏尿, 低血圧がみられ, 心エコー上新たな心筋梗塞の発症はなかったがうっ血性心不全の状態であった. ICUにて加療を続けたが, 全身状態が改善せず死亡した. Buerger病で壮年期に切断術を受けADLが低下すると, 社会生活に重大な障害となる. 患者によっては家族の支援も受けられず併存する疾患の治療のコンプライアンスにも悪影響を及ぼして不幸な転帰をとることがあり本症例は教訓的であった.
ISSN:1343-2826