20. 嚥下障害患者の在宅経腸栄養管理におけるセレン欠乏の対策について

55歳, 男性. 電撃症による後遺症で遷延性意識障害, 嚥下障害, 四肢麻痺の状態になり, 10年来在宅にて訪問リハビリテーション, 訪問看護等にて管理し, 栄養は胃瘻からの経腸栄養管理の状態であった. エンシュアリキッド(R)(アボットジャパン)を1日1, 250kcal投与していた. 検査にて血清セレン値(正常範囲10.6~17.4μg/dl)は3.8μg/dlと低値を示した. 1日のセレン投与量は12.5μg(第六次改定日本人の栄養所要量ではセレンは50μg)とかなり少ないことが低セレン血症を起こした原因であった. セレンが欠乏すると心筋症様の症状を呈することが知られているが, この症例...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inリハビリテーション医学 Vol. 41; no. 12; p. 889
Main Authors 湧上聖, 今村義典, 前原愛和, 石田ゆり子, 山本雄大, 橋口英明, 米須功, 末永英文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.2004
社団法人日本リハビリテーション医学会
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
Online AccessGet full text
ISSN0034-351X

Cover

More Information
Summary:55歳, 男性. 電撃症による後遺症で遷延性意識障害, 嚥下障害, 四肢麻痺の状態になり, 10年来在宅にて訪問リハビリテーション, 訪問看護等にて管理し, 栄養は胃瘻からの経腸栄養管理の状態であった. エンシュアリキッド(R)(アボットジャパン)を1日1, 250kcal投与していた. 検査にて血清セレン値(正常範囲10.6~17.4μg/dl)は3.8μg/dlと低値を示した. 1日のセレン投与量は12.5μg(第六次改定日本人の栄養所要量ではセレンは50μg)とかなり少ないことが低セレン血症を起こした原因であった. セレンが欠乏すると心筋症様の症状を呈することが知られているが, この症例は心電図異常や心不全症状はまだ認められなかった. 1本でセレンが50μg含まれているブイクレスα(R)(三協製薬工業)を1日1本連日投与して, 8.2μg/dlまで改善した. 在宅経腸栄養管理の患者は薬品の経腸栄養剤であるエンシュアリキッド(R)を使用することがほとんどで, それらはセレン含量が少ないことから, 注意が必要である.
ISSN:0034-351X