急性期病院におけるリハビリテーションの再検討-診療報酬改定前後の比較を通じて

【はじめに】平成14年からの診療報酬改定により, 病院の機能類別化が促進され, 当院のような急性期病院におけるリハビリテーションのあり方が検討される必要が生じてきている. 改定前後の3ヶ月間の脳梗塞患者を調査した. 【対象】平成14年1月から3月, 4月から6月の各3ヶ月間における当院脳梗塞患者を対象とした. 改定前3ヶ月の間に転帰した45名, 改定後3ヶ月の間に転帰した47名についての比較. 【方法】(1)退院と転院の患者数とそれぞれの平均在院日数(2)理学療法開始時と退院ならび転院時のブルンストロームステージ(以下ステージ)(3)ケースワーカーの聞き取りによる患者, 家族の希望の各項目につ...

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Published in理学療法学 Vol. 30; no. suppl-2; p. 243
Main Authors 和嶋郁子, 藤川薫, 田邊英紀, 大野博司, 加藤洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士協会 20.04.2003
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Summary:【はじめに】平成14年からの診療報酬改定により, 病院の機能類別化が促進され, 当院のような急性期病院におけるリハビリテーションのあり方が検討される必要が生じてきている. 改定前後の3ヶ月間の脳梗塞患者を調査した. 【対象】平成14年1月から3月, 4月から6月の各3ヶ月間における当院脳梗塞患者を対象とした. 改定前3ヶ月の間に転帰した45名, 改定後3ヶ月の間に転帰した47名についての比較. 【方法】(1)退院と転院の患者数とそれぞれの平均在院日数(2)理学療法開始時と退院ならび転院時のブルンストロームステージ(以下ステージ)(3)ケースワーカーの聞き取りによる患者, 家族の希望の各項目につき比較検討した. 【結果】(1)について, 改定前退院28名, 転院17名在院日数はそれぞれ15日, 44.6日で, 改定後退院34名, 転院13名で在院日数は18日, 58.3日であった. (2)について改定前の退院患者のステージは開始時IV以上が90%で最終時V以上に改善し, 改定後の退院患者のステージはIV以上が80%で最終時IVからVIと分離可能であるがばらつきを認めた. 転院患者については改定前, 後ともほとんど差を認めず, 開始時II以下に集中しII以下のままが30%, III, IVに改善したもの60%とかろうじて分離を認めた程度が多かった. (3)については転院患者, 家族とも転院は否定的で治るまでここでリハビリをしたい. 退院に至った例でも自宅退院後の不安, 運動機能の低下, 介護の問題があがった. 【考察】医療制度改革が進む中, 今回の診療報酬改定が当院のような急性期病院にどのように影響しているか脳梗塞患者に限ってではあるが検討した. 改定後, 間もないこともあり退院患者数が転院患者数を上回り, 在院日数に著明な差はないものの, 着実に退院患者数は増加している. 特に改定後の退院患者のステージにばらつきを認め自宅でのADLになんらかの介助を必要とする状態での退院となった. 当院では自宅退院時, 家屋構造に問題があり, 自宅でのADL動作に影響を及ぼす場合や実際しているADLを評価するため外泊訓練, 退院前訪問を行なうようにしている. また必要時には当院のクリニックのケア, マネージャーがケアプランを作成し退院後の介護支援をクリニックで行い必要に応じてPTが訪問リハビリを施行し, 家族への介助方法と運動機能維持, 向上に努めている. 改定後から退院前カンファレンスを行っており, より一層院内での連携を取るように努めている. また当院での急性期リハはもちろんのこと回復期, 地域と幅広くリハビリテーションを行なえる体制が望まれることを認識した.
ISSN:0289-3770