51. 培養ウシ副腎髄質細胞におけるカテコールアミン分泌に対するフラボノール類ケルセチンやケンフェロールの作用

「目的」植物ポリフェノール類の一種であるフラボノイドは, A環とB環の2個のフェニル基が炭素原子3個を介して結合した構造(C6-C3-C6)を有する一連の化合物群の総称でである. フラボノイドは柑橘果実, 野菜, 雑穀類に多く含まれており色素, 苦味の成分である. 化学構造の特徴から, フラボン類, フラボノール類, アントシアニン類, イソフラボン類などのサブグループに分類され, フラボノール類(ケルセチン, ケンフェロール等)は天然界での分布範囲が極めて広い. 生体の生理調節機能との関連ついては, 活性酸素の抑制, 抗酸化作用, 抗炎症作用, 血小板の凝集抑制, がん, 心疾患, 糖尿病な...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inJOURNAL OF UOEH Vol. 34; no. 1; p. 142
Main Authors 坂巻路可, 豊平由美子, 小原剛, 稲垣博英, 高橋浩二郎, 外山健二, 柳原延章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 産業医科大学 01.03.2012
産業医科大学学会
The UOEH Association of Health Sciences
Online AccessGet full text
ISSN0387-821X

Cover

More Information
Summary:「目的」植物ポリフェノール類の一種であるフラボノイドは, A環とB環の2個のフェニル基が炭素原子3個を介して結合した構造(C6-C3-C6)を有する一連の化合物群の総称でである. フラボノイドは柑橘果実, 野菜, 雑穀類に多く含まれており色素, 苦味の成分である. 化学構造の特徴から, フラボン類, フラボノール類, アントシアニン類, イソフラボン類などのサブグループに分類され, フラボノール類(ケルセチン, ケンフェロール等)は天然界での分布範囲が極めて広い. 生体の生理調節機能との関連ついては, 活性酸素の抑制, 抗酸化作用, 抗炎症作用, 血小板の凝集抑制, がん, 心疾患, 糖尿病など各種疾病に対する抑制, 予防作用などに注目が集まっている. フラボノイドの種類は数が極めて多く類似構造を示す化合物も多く存在する. その有用性は生理機能や栄養疫学研究において検討されているが, 神経系への作用についての報告は極めて少ない. 本研究では, 交感神経系のモデルとして研究に用いられている培養ウシ副腎髄質細胞を用いて, 植物中のフラボノール類のカテコールアミン神経系への作用について検討する. 「方法」コラゲナーゼ処理により分離・培養したウシ副腎髄質細胞を用いて, 植物機能成分存在下でのカテコールアミン分泌と細胞内(Ca2+)i変化を測定した. 「結果」フラボノイド化合物の中でSylimarin, Kaempferol, Apigenin, Quercetin, Rutinはアセチルコリン受容体刺激によるカテコールアミン分泌を抑制した. Quercetrinはニコチン性アセチルコリン受容体, 電位依存性Naチャネルの活性化によって引き起こされるカテコールアミン分泌を濃度依存的(10-1OOμM)に抑制した. Kaempferolはニコチン性アセチルコリン受容体, 電位依存性Naチャネル, 電位依存性Caチャネルの活性化によって引き起こされるカテコールアミン分泌を濃度依存的(10-100μM)に抑制した. Quercetrin, Kaempferolはニコチン性アセチルコリン受容体刺激による細包内Ca2+濃度上昇を抑制した. 「考察」フラボノイド化合物であるKempherol, Qercetrinはニコチン性アセチルコリン受容体等のイオンチャネルを阻害することによりカテコールアミン分泌を抑制することが示唆された.
ISSN:0387-821X