13.リウマチ患者のリハビリテーションにおける最近の傾向と合併症の分析

近年リハビリテーションの対象は, 障害の重度化, 重複化, 高齢化の傾向にある. RAのリハビリテーションでも同様であろうか. 症例は過去に入院したRA患者の216人, 延べ301人である. これらについて, 当センター開設後15年を5年毎に区切って3期に分け, 統計的に比較検討して, その趨勢を明らかにした. その結果, (1)年齢;第III期(平均55歳)は第I期(平均49歳)および第II期(平均50歳)と有意差を認めた(P=1%). すなわち高齢化の傾向と云える. (2)入院回数;第I期平均1.1回, 第II期平均1.4回, 第III期平均1.6回と徐々に増加し, 3者間で差を認めた(P...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 21; no. 5; p. 310
Main Authors 小林勝, 浅田進
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.09.1984
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Summary:近年リハビリテーションの対象は, 障害の重度化, 重複化, 高齢化の傾向にある. RAのリハビリテーションでも同様であろうか. 症例は過去に入院したRA患者の216人, 延べ301人である. これらについて, 当センター開設後15年を5年毎に区切って3期に分け, 統計的に比較検討して, その趨勢を明らかにした. その結果, (1)年齢;第III期(平均55歳)は第I期(平均49歳)および第II期(平均50歳)と有意差を認めた(P=1%). すなわち高齢化の傾向と云える. (2)入院回数;第I期平均1.1回, 第II期平均1.4回, 第III期平均1.6回と徐々に増加し, 3者間で差を認めた(P=5%). 長期経過例では再入院や再々入院など複数入院が増加するとともに高齢化の一因となっている. (3)入院期間;第III期では年齢差はなく, 平均6ヵ月である. (4)歩行不能例;頻度は59歳以下では経年的に減少傾向で, 60歳以上では増加傾向である. (5)合併症;60歳以上を59歳以下に比較すると, 高血圧心電図異常と低蛋白血症の頻度で有意差をみた(P=1%). 貧血も高頻度であるが年齢差はない. その他年齢による合併症の差は痴呆, 大腿骨頸部骨折, 胃潰瘍などにみられた. 以上よりRAでも高齢化と高齢者の歩行不能例や合併症の増加傾向にあるといえる. 質問 七沢病院 前田真治:(1)症例の中から再入院, 再々入院などを含めずにみた場合, 第I期, 第II期, 第III期で年齢的な差は認められ高齢化現象があるのでしょうか. (2)先生のデータでは年齢の若い症例に頸椎症が多いのですが, これについてどのように考えられますか. 質問 横浜市大 岡本連三:再入院あるいは再々入院と人工関節手術との関係はいかがだったでしょうか. 答 小林勝:前田先生の質問に対して;(1)高齢化については, 複数入院患者を除いた場合も, 高齢化の傾向です. (2)頸椎症に年齢差があった理由は不明です. (3)岡本先生の質問に対して;複数入院の原因には人工関節手術の目的, 機能訓練などを含んでいる.
ISSN:0034-351X