乳頭筋断裂を来した外傷性三尖弁閉鎖不全症に対し弁形成術を施行した1例

非穿通性胸部外傷による孤立性三尖弁閉鎖不全症の1例を経験した. 症例は20歳, 男性. 乗用車の助手席にて交通事故に遭い肋骨々折, 左血気胸, 下顎骨々折を来し近医入院となった. 入院時より動悸, 胸部不快感を認めていたが外傷によるものと放置されていた. 下顎骨々折手術施行の際, 三尖弁閉鎖不全症を指摘され, 術後内科外来にて経過観察されていたが, 動悸, 胸部不快感が増悪し, 三尖 弁閉鎖不全の進行によるものと診断され当科入院となった. 受傷8カ月後に施行した手術では, 三尖 弁に乳頭筋断裂, 弁尖裂傷, 弁輪拡大を認め, これに対し乳頭筋修復術(腱索再建), 弁尖縫合術, 弁輪縫縮術により...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inThe Japanese Journal of THORACIC AND CARDIOVASCULAR SURGERY Vol. 46; no. 1; pp. 91 - 95
Main Authors 櫻川浩, 小山信彌, 渡辺善則, 吉原克則, 川村幸平, 山崎史朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胸部外科学会 10.01.1998
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:非穿通性胸部外傷による孤立性三尖弁閉鎖不全症の1例を経験した. 症例は20歳, 男性. 乗用車の助手席にて交通事故に遭い肋骨々折, 左血気胸, 下顎骨々折を来し近医入院となった. 入院時より動悸, 胸部不快感を認めていたが外傷によるものと放置されていた. 下顎骨々折手術施行の際, 三尖弁閉鎖不全症を指摘され, 術後内科外来にて経過観察されていたが, 動悸, 胸部不快感が増悪し, 三尖 弁閉鎖不全の進行によるものと診断され当科入院となった. 受傷8カ月後に施行した手術では, 三尖 弁に乳頭筋断裂, 弁尖裂傷, 弁輪拡大を認め, これに対し乳頭筋修復術(腱索再建), 弁尖縫合術, 弁輪縫縮術により弁形成術を施行した. また術中左側心膜欠損が認められた. 乳頭筋断裂を来した外傷性三尖弁閉鎖不全症に対する弁形成術(腱索再建)は, 本邦報告例の無い極めてまれなものであり, 文献的考察を加え検討した.
ISSN:1344-4964