5. 外傷性大動脈弁閉鎖不全症の1例

症例は70歳, 男性. 2005年1月28日, バイク事故にて肺挫傷, 肋骨骨折等, 多発骨折を受傷. 経過中, 酸素化能の低下があり人工呼吸器管理, 気切とされた. その後改善したが, 嚥下障害と歩行障害が残存し, 4月1日当院へリハビリテーション目的に転院となった. リハは順調に進み, 歩行, ADL自立し退院日も決まった. しかし, その1週間前の7月14日, 突然心不全症状出現. 一時は重篤な状態となったが, 治療により歩行可能なところまで改善した. 受傷後にARの急速な悪化を認めており, 受傷前は正常心であり, 他にARを来す疾患がないことから, 外傷性大動脈弁閉鎖不全症と診断した....

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 43; no. 2; p. 125
Main Authors 兵頭昌樹, 豊倉穣, 市川典子, 石田暉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.02.2006
社団法人日本リハビリテーション医学会
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
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ISSN0034-351X

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Summary:症例は70歳, 男性. 2005年1月28日, バイク事故にて肺挫傷, 肋骨骨折等, 多発骨折を受傷. 経過中, 酸素化能の低下があり人工呼吸器管理, 気切とされた. その後改善したが, 嚥下障害と歩行障害が残存し, 4月1日当院へリハビリテーション目的に転院となった. リハは順調に進み, 歩行, ADL自立し退院日も決まった. しかし, その1週間前の7月14日, 突然心不全症状出現. 一時は重篤な状態となったが, 治療により歩行可能なところまで改善した. 受傷後にARの急速な悪化を認めており, 受傷前は正常心であり, 他にARを来す疾患がないことから, 外傷性大動脈弁閉鎖不全症と診断した. 手術適応であったため, 大動脈弁置換術を行った. 術後は順調に回復し, ADL自立にて自宅退院となった. 本症は報告が少なくまれであるが, 受傷後, 日数を経てから(2日~7年)心不全を発症することが多く, 胸部外傷後のリハを行う上で注意を要する病態であると考えられた.
ISSN:0034-351X