生活学と衛生学
衛生学の“生”には, “生”命の生と“生”活の生の両面がある. ここでは, 後者の生活と衛生学との関係について述べる. 結論を先にいうと, 衛生学そのものがドイツをはじめとする先進国からの輸入学問体系であるから, これからの我が国の衛生学は, 日本人にとってのすこやかな生活はいかにあるべきかを追究することも大事な課題であることを強調したい. 国際化の時代になればなるほど, 一国のいわゆるアイデンティティが問われるのはいうまでもない. さて, 生活学会という学会がある. その学会には私も含めて数人の衛生学, 公衆衛生学専攻者が入会している. その学会の目的を簡潔にいえば, 「日本人にとっての生活...
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Published in | 日本衛生学雑誌 Vol. 61; no. suppl; pp. 84 - 85 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本衛生学会
15.03.2006
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ISSN | 0021-5082 |
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Summary: | 衛生学の“生”には, “生”命の生と“生”活の生の両面がある. ここでは, 後者の生活と衛生学との関係について述べる. 結論を先にいうと, 衛生学そのものがドイツをはじめとする先進国からの輸入学問体系であるから, これからの我が国の衛生学は, 日本人にとってのすこやかな生活はいかにあるべきかを追究することも大事な課題であることを強調したい. 国際化の時代になればなるほど, 一国のいわゆるアイデンティティが問われるのはいうまでもない. さて, 生活学会という学会がある. その学会には私も含めて数人の衛生学, 公衆衛生学専攻者が入会している. その学会の目的を簡潔にいえば, 「日本人にとっての生活はいかにあるべきか」である. 今や日本人にとっての健康的な生活とはいかにあったらよいのかを真摯に追究すべき時ではなかろうか. 明治期以降, より衛生的にという美名のもとに, いわゆる非衛生的なものは排除されてきた. それによって確かに不潔とか迷信あるいは非合理的な生活面は改善された. しかし, 日本的な生活の良さまでもそれとともに葬り去ったのではないか. 衛生学がそれに荷担した面があったのではないか. 今や日本の生活には物質的には欧米先進国を凌駕する面も出現した. |
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ISSN: | 0021-5082 |