その他のウイルス

サイトメガロウイルスはヘルペスウイルス科に属し, エンベロープに包まれ, 2.4×10^5 塩基対からなる2本鎖DNAを持つ. 感染経路としては, 垂直感染, 水平感染の両者があり, 持続感染に至る. 前者には子宮内及び産道感染がある. 抗体陽性の母親から生まれた子供はかなりの率でウイルスを持ち, 子宮内感染を受けた子供の約17%は聴力障害を起こす. 産道感染は3.5~20%の子供に起こり, 間質性肺炎や肝脾腫がみられることが有り, 特に未熟児の場合は重症になる. 幼児期を過ぎてからの水平感染は, 大部分不顕性感染であるが, サイトメガロウイルス単核症が見られることがある. これは伝染性単核症...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 43; no. 4; pp. 598 - 600
Main Author 佐藤博行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.08.1997
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ISSN0546-1448

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Summary:サイトメガロウイルスはヘルペスウイルス科に属し, エンベロープに包まれ, 2.4×10^5 塩基対からなる2本鎖DNAを持つ. 感染経路としては, 垂直感染, 水平感染の両者があり, 持続感染に至る. 前者には子宮内及び産道感染がある. 抗体陽性の母親から生まれた子供はかなりの率でウイルスを持ち, 子宮内感染を受けた子供の約17%は聴力障害を起こす. 産道感染は3.5~20%の子供に起こり, 間質性肺炎や肝脾腫がみられることが有り, 特に未熟児の場合は重症になる. 幼児期を過ぎてからの水平感染は, 大部分不顕性感染であるが, サイトメガロウイルス単核症が見られることがある. これは伝染性単核症と異なり, 頸部リンパ節腫張を伴うことなしに発熱, 肝障害をきたす. 多核白血球, 単球からウイルスを分離することができる. 更に, 医原性感染として, 輸血を介する感染がある. 抗体陰性の小児特に未熟児や免疫能の低下した患者への輸血によるサイトメガロウイルス感染症は重症化(間質性肺炎, 肝炎, 胃腸炎, 網膜炎, 全身感染症)することがある. 抗体陰性の妊婦への輸血に際しても上記のように垂直感染を起こす可能性があり, 注意を要する.
ISSN:0546-1448