7. 茶栽培農家のクロルフェナピル散布による急性農薬中毒の一例

農薬散布後に著しい全身倦怠感と発汗が生じ, 一週間後に死亡した55歳男性, 茶栽培納付の一例を報告する. 症例は茶の栽培作業中, 害虫に対して広い殺虫スペクトルをもつ農薬の一種クロルフェナピルを防護マスク, 防護衣なしで使用した. 農薬散布の翌日に, 全身倦怠感, 多量発汗, 嘔気, 嘔吐を訴え, 当初は脱水症と判断され補液による保存的治療を受けたが, 症状には改善が見られなかった. 散布後7日目に突然, 意識レベルが低下し, 体温が40℃まで上昇, 全身の筋硬直を来たし心肺停止状態となり集中治療を行なっていたが最終的には死亡した. 経過と検査結果から過去に報告されたクロルフェナピル中毒症状と...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 49; no. 6; p. 235
Main Authors 星子美智子, 森美穂子, 草野緑, 原邦夫, 安藤英雄, 末永隆次郎, 石竹達也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本産業衛生学会 20.11.2007
公益社団法人日本産業衛生学会
Japan Society for Occupational Health
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Summary:農薬散布後に著しい全身倦怠感と発汗が生じ, 一週間後に死亡した55歳男性, 茶栽培納付の一例を報告する. 症例は茶の栽培作業中, 害虫に対して広い殺虫スペクトルをもつ農薬の一種クロルフェナピルを防護マスク, 防護衣なしで使用した. 農薬散布の翌日に, 全身倦怠感, 多量発汗, 嘔気, 嘔吐を訴え, 当初は脱水症と判断され補液による保存的治療を受けたが, 症状には改善が見られなかった. 散布後7日目に突然, 意識レベルが低下し, 体温が40℃まで上昇, 全身の筋硬直を来たし心肺停止状態となり集中治療を行なっていたが最終的には死亡した. 経過と検査結果から過去に報告されたクロルフェナピル中毒症状と合致しており臨床的にクロルフェナピルによる急性薬物中毒と診断した, クロルフェナピル中毒については確立した治療法がないため, 曝露による予防が重要であり, 農薬散布時の防護マスク・防護衣の着用を義務づけることが望ましい.
ISSN:1341-0725