4 インドネシア・バリ島の家屋内外に生息するシマカ類(Stegomyia)について

インドネシアのバリ島都市の家屋内外に生息するシマカ類の生息状況を明らかにするために小範囲なovi-trap調査を2006年1月18日から28日にかけて実施した. 南部地区(デンパサール)と中部地区(ウブド)で長期滞在中の日本人関係の家屋や日本人学校など両地区でそれぞれ5軒, 合計10軒を選出した. プラスチック容器(直径13cm, 高さ10cm, 内壁に褐色の紙を巻いて, 水を約半分入れる)を各家屋の内(台所, 寝室トイレなど)と外(庭)に2個ずつ, 合計40個をovi-trapとして設置した. この容器(Ovi-trap)は, 設置後約10日目にすべて回収し, 容器の水を捨てて, 内壁の用紙...

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Published inMedical Entomology and Zoology Vol. 61; no. 2; p. 181
Main Authors 當間孝子, 宮城一郎, 桑原紀子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本衛生動物学会 15.06.2010
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Summary:インドネシアのバリ島都市の家屋内外に生息するシマカ類の生息状況を明らかにするために小範囲なovi-trap調査を2006年1月18日から28日にかけて実施した. 南部地区(デンパサール)と中部地区(ウブド)で長期滞在中の日本人関係の家屋や日本人学校など両地区でそれぞれ5軒, 合計10軒を選出した. プラスチック容器(直径13cm, 高さ10cm, 内壁に褐色の紙を巻いて, 水を約半分入れる)を各家屋の内(台所, 寝室トイレなど)と外(庭)に2個ずつ, 合計40個をovi-trapとして設置した. この容器(Ovi-trap)は, 設置後約10日目にすべて回収し, 容器の水を捨てて, 内壁の用紙を数日間陰干し, 各紙に付着している卵を容器別に数えた. その後, 再度容器に汲み置き水を注いで室内で飼育した. それぞれの容器内でふ化幼虫は餌として粉末(マウスの固型飼料1とエビオス1を混合)を毎日少量与えた. 羽化成虫は直ちにクロロホルムで殺し, 種を同定し, 個体数を容器別に記録した. 羽化成虫はヒトスジシマカ(Aedes albopictus)とネッタイシマカ(Aedes aegypti)であった. 南部の家屋内では10トラップに304個が産卵されていた. 飼育した結果, 最終的にヒトスジシマカ21個体, ネッタイシマカ183個体が羽化した. 家屋外では738卵のうち, ヒトスジシマカ129, ネッタイシマカ244個体で, 内外いずれのトラップでもネッタイシマカが多かった. 中部の家屋内では78卵の内, ヒトスジシマカは64個体, ネッタイシマカは全く見られなかった. また, 家屋外でも583卵のうち, 最終的に羽化したのはヒトスジシマカが397個体で, ネッタイシマカは全く見られなかった.
ISSN:0424-7086