IL-12の破骨細胞形成間接的抑制作用 ~T細胞およびIFN-γ非依存性作用機序について

【目的】近年, 破骨細胞分化, 機能の制御への免疫担当細胞および様々なサイトカインの関与が多く報告されてきた. しかしながら, 免疫において重要な働きをしているIL-12と骨代謝に関する報告はほとんどない. 本報告では, RANKLによる破骨細胞誘導時におけるIL-12の影響を検討した. 【方法】5週齢ddYマウス全骨髄細胞をM-CSFおよびRANKL存在下で培養し同時にIL-12を作用させた. T細胞が成熟しないヌードマウスおよびIFN-γレセプターノックアウトマウスからの全骨髄細胞や骨髄細胞由来M-CSF依存性マクロファージ(破骨細胞前駆細胞)でも同様の実験を行い, それぞれ, TRAP陽...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 44; no. 5; p. 431
Main Authors 永田礼子, 北浦英樹, 藤村裕治, 吉田教明, 中山浩次
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 20.09.2002
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:【目的】近年, 破骨細胞分化, 機能の制御への免疫担当細胞および様々なサイトカインの関与が多く報告されてきた. しかしながら, 免疫において重要な働きをしているIL-12と骨代謝に関する報告はほとんどない. 本報告では, RANKLによる破骨細胞誘導時におけるIL-12の影響を検討した. 【方法】5週齢ddYマウス全骨髄細胞をM-CSFおよびRANKL存在下で培養し同時にIL-12を作用させた. T細胞が成熟しないヌードマウスおよびIFN-γレセプターノックアウトマウスからの全骨髄細胞や骨髄細胞由来M-CSF依存性マクロファージ(破骨細胞前駆細胞)でも同様の実験を行い, それぞれ, TRAP陽性細胞数を測定した. 【結果と考察】IL-12は全骨髄細胞を用いた場合, 破骨細胞様細胞形成を抑制したが, 破骨細胞前駆細胞を用いた場合には, 形成抑制はなかった. このことから, IL-12は破骨細胞前駆細胞に直接的に作用するのではなく, 何らかの細胞および因子の仲介で, 間接的に破骨細胞様細胞形成を抑制することが示唆された. また, ヌードマウスの骨髄細胞を用いても, 骨髄細胞からT細胞を除去しても, この抑制作用は認められた. 抗IFN-γ中和抗体およびIFN-γレセプターノックアウトマウスでもその作用は解除されなかった. これらのことから, IL-12の破骨細胞形成抑制作用は, T細胞およびIFN-γ非依存性であることが示唆された.
ISSN:0385-0137