21.フッ化カドミウム静脈内投与後の体内動態 -フッ素およびカドミウムの血中・胆汁中および尿中動態について

フッ化カドミウム(CdF2)は重篤な肝障害および腎障害を生じる.今回はカドミウム(Cd)およびフッ素(F)の体内動態との関連について検討した.ラットにCdF2(1.34, 2.67, 4.01(LD90)(mg/kg))静注後5,10,30,60,120,180,300分における血中CdおよびF濃度を測定した.同様に静注後5時間連続胆汁を採取した.同様に静注後5時間蓄尿した.血中Cd濃度は3群ともに低下遅延し,F濃度は1.34群に比し2.67, 4.01群で低下遅延した.胆汁量は3群とも低下し,Cd排出量がF排出量を大きく上回り,Cd排出量は1.34群に比し2.67, 4.01群で上昇した.尿...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in産業衛生学雑誌 Vol. 49; no. 2; p. 74
Main Authors 足立和也, 土手友太郎, 臼田 寛, 川崎隆士, 土手江美, 三井 剛, 辻 洋志, 河野公一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本産業衛生学会 20.03.2007
Online AccessGet full text

Cover

More Information
Summary:フッ化カドミウム(CdF2)は重篤な肝障害および腎障害を生じる.今回はカドミウム(Cd)およびフッ素(F)の体内動態との関連について検討した.ラットにCdF2(1.34, 2.67, 4.01(LD90)(mg/kg))静注後5,10,30,60,120,180,300分における血中CdおよびF濃度を測定した.同様に静注後5時間連続胆汁を採取した.同様に静注後5時間蓄尿した.血中Cd濃度は3群ともに低下遅延し,F濃度は1.34群に比し2.67, 4.01群で低下遅延した.胆汁量は3群とも低下し,Cd排出量がF排出量を大きく上回り,Cd排出量は1.34群に比し2.67, 4.01群で上昇した.尿量は3群とも低下し,F排泄量がCd排泄量を大きく上回った.以上より血中Cd濃度の低下遅延および胆汁排出量の低下は強い肝障害に起因し,血中F濃度の低下遅延および非量依存的な尿中F排泄量は腎障害が関与したと考えられた.
ISSN:1341-0725
1349-533X