10. 先天性中枢性低換気症候群(オンディーヌの呪い)を伴った小児のリハビリテーション

先天性中枢性低換気症候群は, 中枢性の呼吸調節障害により睡眠時に著明な低換気を呈する症候群である. 覚醒時にも換気応答の異常が報告され, 発達障害を呈することがある. 今回, 先天性中枢性低換気症候群の1症例を経験したので報告する. 当症例は3歳6ヵ月男児で, 出生直後より人工呼吸器管理開始され, 4ヵ月時気管切開施行, 初診時睡眠時のみ人工呼吸器管理されていた. 運動, 精神, 言語発達障害を合併し1歳6ヵ月相当であった. 発語が特に遅れており限られた発声のみ可能であったが, 前言語期より呼吸器管理されておりその影響が推測された. 発達訓練を行う際, 経皮的酸素飽和度モニターを行い運動負荷量...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 41; no. 5; p. 338
Main Authors 藤井智恵子, 古野薫, 古川俊明, 渡名喜良明, 花山耕三, 石田暉, 高橋真須美, 稲枝道子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.05.2004
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Summary:先天性中枢性低換気症候群は, 中枢性の呼吸調節障害により睡眠時に著明な低換気を呈する症候群である. 覚醒時にも換気応答の異常が報告され, 発達障害を呈することがある. 今回, 先天性中枢性低換気症候群の1症例を経験したので報告する. 当症例は3歳6ヵ月男児で, 出生直後より人工呼吸器管理開始され, 4ヵ月時気管切開施行, 初診時睡眠時のみ人工呼吸器管理されていた. 運動, 精神, 言語発達障害を合併し1歳6ヵ月相当であった. 発語が特に遅れており限られた発声のみ可能であったが, 前言語期より呼吸器管理されておりその影響が推測された. 発達訓練を行う際, 経皮的酸素飽和度モニターを行い運動負荷量の指標とした. 階段昇降時に酸素飽和度の低下を認めたが自覚症状に乏しかった. 低酸素への暴露が発達障害の原因の1つである可能性も報告されており, 今後, 発達に応じて運動量の増加することが考えられ, 詳細な運動時の呼吸評価が必要と考えられる.
ISSN:0034-351X