24. 職域一般健康診断の「自覚症状の選択肢数」が「自覚症状数に関する現象」に与える影響

「背景・目的」先に行った当方らの研究により健康診断における自覚症状数は, 「睡眠習慣」や「健康習慣」の他, 将来の多くの診療科への通院開始にも相関性があることがわかった. それらの研究では自覚症状数に関する先行研究に準じて12肢の自覚症状選択肢を用いて検討したが, 自覚症状選択肢の数・組み合わせの妥当性について検証した研究はほぼ見られない. このため今回我々は自覚症状の選択肢数が自覚症状数に関する現象にどのように影響するのかを検討した. 「方法」ある健診機関診療所で職域一般健康診断を受けた70913名の問診票の自覚症状(33選択肢)の回答結果を用いた. そこから2~12肢分の選択肢を無作為に抽...

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Published inJOURNAL OF UOEH Vol. 34; no. 1; p. 128
Main Authors 水野光仁, 大神明, 森口次郎, 武田和夫, 池田正之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 産業医科大学 01.03.2012
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Summary:「背景・目的」先に行った当方らの研究により健康診断における自覚症状数は, 「睡眠習慣」や「健康習慣」の他, 将来の多くの診療科への通院開始にも相関性があることがわかった. それらの研究では自覚症状数に関する先行研究に準じて12肢の自覚症状選択肢を用いて検討したが, 自覚症状選択肢の数・組み合わせの妥当性について検証した研究はほぼ見られない. このため今回我々は自覚症状の選択肢数が自覚症状数に関する現象にどのように影響するのかを検討した. 「方法」ある健診機関診療所で職域一般健康診断を受けた70913名の問診票の自覚症状(33選択肢)の回答結果を用いた. そこから2~12肢分の選択肢を無作為に抽出し, 統計学的に検討した. 「結果」選択肢数と各自覚症状数の回答者率は, いかなる自覚症状の選択肢の数・組み合わせで提示しても「1og10Y=(-1.0941og10M+1.576)X-0.03M+2.101」(Y:回答者率, X:自覚症状数, M:提示選択肢数)という関係式で表せる可能性が高いことがわかった(R2乗値=0.99). また, 選択肢数が10~14肢以上になると, 最大の自覚症状数が選択肢数を下回った. 「考察」自覚症状数と回答者数の関係はいかなる選択肢の数・組み合わせを用いても上述の指数関数式で表せると考えられた. このため, 自覚症状数に関する現象に対してはこの式の傾きの差で検討可能だが, 反面, カットオフ値を求めることは困難と予想された. また自覚症状の選択肢数は, 選択肢が認識されなくなる可能性のある約10~14肢を超さないように設定することが望ましいと考えられた. 今回の検討結果をふまえ, 健康診断における最適な自覚症状質問法, また自覚症状数に関する現象の産業医学上の意義についての検討を進めていきたい.
ISSN:0387-821X