7. 中咽頭癌術後嚥下障害に対しPAP作成を試みた1例

今回, 中咽頭癌術後嚥下障害に対しバルーン訓練, 摂食訓練に加え, 舌接触補助床(以下PAP)を適用したので, 臨床経過とともにPAPの効果について報告する. 症例は62歳, 男性. 中咽頭癌に対する手術, 術後放射線治療後に嚥下障害をきたした. 舌運動不全のため口腔内から咽頭への送り込みが不良, かつ咽頭収縮不全, 食道入口部開大不全を認めた. バルーン訓練により部分的な摂食が可能となったが, 口腔内残留, 咽頭残留の著しい状態であった. 口腔から咽頭への送り込み改善を目的にPAPを作成したところ, 送り込みの改善がみられるとともに舌根部嚥下圧が増加, 咽頭通過の改善が得られ, 自覚的にも改...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 41; no. 5; pp. 329 - 330
Main Authors 稲生綾, 松田紫緒, 黒田百合, 平山友恵, 大野友久, 高橋博達, 藤島一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.05.2004
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Summary:今回, 中咽頭癌術後嚥下障害に対しバルーン訓練, 摂食訓練に加え, 舌接触補助床(以下PAP)を適用したので, 臨床経過とともにPAPの効果について報告する. 症例は62歳, 男性. 中咽頭癌に対する手術, 術後放射線治療後に嚥下障害をきたした. 舌運動不全のため口腔内から咽頭への送り込みが不良, かつ咽頭収縮不全, 食道入口部開大不全を認めた. バルーン訓練により部分的な摂食が可能となったが, 口腔内残留, 咽頭残留の著しい状態であった. 口腔から咽頭への送り込み改善を目的にPAPを作成したところ, 送り込みの改善がみられるとともに舌根部嚥下圧が増加, 咽頭通過の改善が得られ, 自覚的にも改善が認められた. 現在は一食のみの経口摂取であるが, 満足感を得ている.
ISSN:0034-351X