26. フッ酸の希釈濃度および静注後の急性生体影響について

フッ酸(HFA)の高濃度曝露事故事例や研究報告は多いが, 低濃度曝露による急性影響についての報告は殆どない. そこで低濃度急速曝露による致死毒性および曝露後の肝, 腎障害, 電解質異常を検討した. ラットに低濃度HFA溶液(1ml)を静注し算出した24時間後LC50は0.52%であった. 低濃度HFAの量反応関係についてはLC5(0.30%)を上限する4種類の濃度, 生食および0.3%HFAのFおよびHと同量となるNaF溶液と塩酸を1ml静注し1時間後採血した. 全群において明らかな肝酵素の上昇はなかったが0.1%以上のHFA群のBUN, Crは著明に上昇し, 腎機能障害を示した. 塩酸群では...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 48; no. 1; p. 40
Main Authors 三井剛, 足立和也, 土手江美, 藤本圭一, 新保有佳里, 藤原美智子, 清水宏泰, 臼田寛, 土手友太郎, 呂波, 河野公一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本産業衛生学会 20.01.2006
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Summary:フッ酸(HFA)の高濃度曝露事故事例や研究報告は多いが, 低濃度曝露による急性影響についての報告は殆どない. そこで低濃度急速曝露による致死毒性および曝露後の肝, 腎障害, 電解質異常を検討した. ラットに低濃度HFA溶液(1ml)を静注し算出した24時間後LC50は0.52%であった. 低濃度HFAの量反応関係についてはLC5(0.30%)を上限する4種類の濃度, 生食および0.3%HFAのFおよびHと同量となるNaF溶液と塩酸を1ml静注し1時間後採血した. 全群において明らかな肝酵素の上昇はなかったが0.1%以上のHFA群のBUN, Crは著明に上昇し, 腎機能障害を示した. 塩酸群ではBEの低下はなかったがHFA群では量依存的にBEが著明に低下し, Hの負荷以外の要因による代謝性アシドーシスが示唆された. NaF群および0.3%HFA群においてKが上昇し, イオン化Caが低下し共存するFの影響と考えられた.
ISSN:1341-0725
1349-533X