18. 日本人労働者における正常血圧者の高血圧への進行に関する研究
「はじめに」血圧上昇による全死亡の相対リスクは, 高齢者よりも中年層が高いと報告があるが, 若年層の報告はない. 循環器疾患の羅患・死亡率を減らすためには, 高血圧の予防が重要である. 本研究は, 日本人における若年層と中高年層の正常から高血圧への移行について調査し, 指導を開始すべき時期を決めることである. 「方法」1999~2008年に, 毎年健康診断を受けている20~64歳の労働者のうち, 調査開始年において高血圧と心疾患治療中の者, JSH2009によるhypertensionに該当する者を除外した12,639人を対象とした. 分析は, baselineの血圧区分と, 世代(若年層:2...
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Published in | JOURNAL OF UOEH Vol. 34; no. 1; p. 125 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
産業医科大学
01.03.2012
産業医科大学学会 The UOEH Association of Health Sciences |
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ISSN | 0387-821X |
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Summary: | 「はじめに」血圧上昇による全死亡の相対リスクは, 高齢者よりも中年層が高いと報告があるが, 若年層の報告はない. 循環器疾患の羅患・死亡率を減らすためには, 高血圧の予防が重要である. 本研究は, 日本人における若年層と中高年層の正常から高血圧への移行について調査し, 指導を開始すべき時期を決めることである. 「方法」1999~2008年に, 毎年健康診断を受けている20~64歳の労働者のうち, 調査開始年において高血圧と心疾患治療中の者, JSH2009によるhypertensionに該当する者を除外した12,639人を対象とした. 分析は, baselineの血圧区分と, 世代(若年層:20-34歳, 中高年層:35-64歳)毎に, 血圧区分とhypertension移行にいてクロス集計を行った. また, hypertensionの移行の有無を従属変数, baselineの血圧区分・年齢・BMI・体重変化率を独立変数として, ロジスティック回帰分析を行った. 「結果」Baselineの血圧区分と世代別のhypertension移行率は, 若年層のhigh normal群で24.0%, 中年層で45.8%であった. hypertension移行をoptimumを1としたオッズ比で示すと, 若年層のnormal群で3.4, high normal群で8.8であった. 中年層ではnormal群で3.2, high nomal群で7.9あった. 「考察」中年層とも, 高血圧への移行にはbaselineの血圧水準の影響が大きいことは白人と同様であった. 若年層については既存のデータがないが同様の結果であった. hypertension移行のオッズ比は, 中年層よりも若年層が高いという結果から, 若年層であっても, 健康診断でhigh normalの値を示せば, 経過観察ではなく, 厳格な指導や予防的な治療の介入が必要であると考えられる. 「結論」正常血圧域であっても, normalやhigh normalの段階での早期介入により, 死亡率を高める高血圧の予防の可能性が示唆された. また, 若年層においても早期の予防的な介入の重要性が示唆された. |
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ISSN: | 0387-821X |