16. サイベックスを用いた肘関節運動の筋電図学的研究

肘関節の運動は屈曲伸展運動と前腕回内回外運動とが複合し複雑な制御様式を受けている. 本研究の目的は肘関節運動にかかわる個々の筋について, その活動様式を知り, それらがいかに統合されているか筋電図学的に解析することである. 【方法】正常成人11名, 検査筋は肘周囲の12筋. 被験者は背臥位とし, サイベックスのアームを握らせ, 各種の運動を行わせた. 筋電図導出には筋肉に刺入した双極ワイヤー電極を用いてトルクとともに12筋同時に記録した. 二つのプロトコールを行った. (1)前腕の位置を変えて肘屈曲伸展の等速度運動と等尺性運動, (2)肘屈曲角度を変えて前腕回内回外の等尺性運動. 【結果】(1...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 25; no. 4; pp. 245 - 246
Main Authors 三木田光, 村田正明, 井上謙一, 平山隆三, 渡壁誠, 橘内勇, 朝野裕一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.07.1988
社団法人日本リハビリテーション医学会
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
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ISSN0034-351X

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Summary:肘関節の運動は屈曲伸展運動と前腕回内回外運動とが複合し複雑な制御様式を受けている. 本研究の目的は肘関節運動にかかわる個々の筋について, その活動様式を知り, それらがいかに統合されているか筋電図学的に解析することである. 【方法】正常成人11名, 検査筋は肘周囲の12筋. 被験者は背臥位とし, サイベックスのアームを握らせ, 各種の運動を行わせた. 筋電図導出には筋肉に刺入した双極ワイヤー電極を用いてトルクとともに12筋同時に記録した. 二つのプロトコールを行った. (1)前腕の位置を変えて肘屈曲伸展の等速度運動と等尺性運動, (2)肘屈曲角度を変えて前腕回内回外の等尺性運動. 【結果】(1)肘屈筋である上腕二頭筋, 腕橈骨筋, 上腕筋は前腕の位置によらず一定の活動を示した. 肘伸筋の上腕三頭筋, 肘筋も同様に一定の活動を示したが, 回外筋, 円回内筋は前腕の位置により活動が変化した. 肘屈曲力および伸展力は肘屈曲角度90度にて最大となった. (2)前腕回内時, 円回内筋, 方形回内筋は一定の活動を示し, 肘筋も活動を示した. 回外時, 肘屈曲角増大につれ上腕二頭筋の活動が増し, 同時に上腕三頭筋の活動も増した. 肘屈曲, 伸展運動および回内回外運動における主動作筋の活動は一定であり, 各運動における機能的プログラムの表れと考えられる. 質問 九州労災病院 井原秀俊:肘伸展, あるいは屈曲時の拮抗筋の活動はどうであったか. 答 三木田光:肘屈曲伸展運動において同位相で拮抗筋が働いていることはなかった. 前腕回外時に回外作用の上腕二頭筋に伴う肘屈曲作用に拮抗して上腕三頭筋が活動したことは肘の安定のためと考えられる. 質問 慈恵医大 米本恭三:筋活動の指標を放電の振幅のみで調べておられますが, 放電頻度は考えに入れなくてよいでしょうか. 答 三木田光:MVCを測定し, 筋電図を%MVCで表している. 周波数については今後検討を加えて再評価したい.
ISSN:0034-351X