歯科用自動現像処理液DENT-X(TM)の定着処理能力の評価

目的:診療に用いられるフィルムは長期保存が必要とされる. しかし処理液の状態によっては, すぐにフィルムが変色し長期保存が難しいケースがある. これらは乳剤層に残っている残留ハイポが原因で起こることが知られている. 昨今, 新製品として発売された歯科用自動現像機の処理液DENT-X(TM)(AFP Imaging社, USA)は, 一般に従来の処理液に比べ処理能力の劣化が遅いといわれている. 今回の実験では定着液の疲労度のみに着目し, 定着液の組成がDENT-X(TM)とほぼ同等といわれるRPX-0mat(Kodak社, USA)と比較検討したので報告する. 方法:定着液の疲労度は, 液の疲労...

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Published in歯科放射線 Vol. 39; no. suppl; p. 41
Main Authors 斎藤正樹, 遠藤敦, 木内保太郎, 小林一重, 舟橋逸雄, 岡野友宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 01.10.1999
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ISSN0389-9705

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Summary:目的:診療に用いられるフィルムは長期保存が必要とされる. しかし処理液の状態によっては, すぐにフィルムが変色し長期保存が難しいケースがある. これらは乳剤層に残っている残留ハイポが原因で起こることが知られている. 昨今, 新製品として発売された歯科用自動現像機の処理液DENT-X(TM)(AFP Imaging社, USA)は, 一般に従来の処理液に比べ処理能力の劣化が遅いといわれている. 今回の実験では定着液の疲労度のみに着目し, 定着液の組成がDENT-X(TM)とほぼ同等といわれるRPX-0mat(Kodak社, USA)と比較検討したので報告する. 方法:定着液の疲労度は, 液の疲労を直接示す残留銀と変色の原因である残留ハイポによって調べた. 測定は, 現像処理した未露光フィルムに残留銀・残留ハイポ試液を滴下し, 滴下した部分とベースとの濃度差を拡散光濃度計で測定した. 長期保存が可能となる濃度差は, 残留銀で0.03以下, 残留ハイポで0.15以下とされているので, この値を超えるまでのフィルム処理枚数, 経過日数を調べた. なお, フィルムはKodak社製EKTASREED Plus, 自動現像機はフラット社製のLEVEL 365を使用, 定着液の疲労だけを調べるため現像と水洗は通常どうりに補充し, 定着は補充を行わないこととした. 結果:RPX-0mat, DENT-X(TM)ともに残留銀・残留ハイポの規定値を超えたのは, 経過日数では一週間前後, フィルム処理枚数では1200枚前後であった. 結論:いずれの処理液も定着作用の耐久性はほぼ同程度と考えられた. ただDENT-X(TM)の劣化の度合いが遅いといわれているのは, 他の処理液に比べ感度に相違があるからと思われる. 今後, 現像液の検討も重ねたい.
ISSN:0389-9705