13. 萎縮唾液腺の再生における唾液分泌刺激薬投与の影響

唾液の分泌促進効果があると考えられている薬剤が唾液分泌促進効果のみならず, 唾液腺組織の再生にも効果があるのか否かについて検討した. 排出導管を2週間結紮した片側耳下腺を萎縮唾液腺モデルとした. 反対側耳下腺は疑似手術を施した. 結紮解除後, 生理食塩水(コントロール), 副交感神経刺激薬(ピロカルピン), 交感神経刺激薬(イソプロテレノール)のいずれかを1週間腹腔内投与した後, 両側耳下腺を摘出し, 組織重量, 組織切片像を調べた. ピロカルピンを投与すると, 生理食塩水を投与するよりも組織重量の回復が悪くなった. 形態的には生理食塩水を投与するよりも正常に近い状態にまで回復していた. イソ...

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Published in九州歯科学会雑誌 Vol. 61; no. 4/5; p. 128
Main Authors 増田 渉, 自見英治郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州歯科学会 25.11.2007
Kyushu Dental Society
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ISSN0368-6833

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Summary:唾液の分泌促進効果があると考えられている薬剤が唾液分泌促進効果のみならず, 唾液腺組織の再生にも効果があるのか否かについて検討した. 排出導管を2週間結紮した片側耳下腺を萎縮唾液腺モデルとした. 反対側耳下腺は疑似手術を施した. 結紮解除後, 生理食塩水(コントロール), 副交感神経刺激薬(ピロカルピン), 交感神経刺激薬(イソプロテレノール)のいずれかを1週間腹腔内投与した後, 両側耳下腺を摘出し, 組織重量, 組織切片像を調べた. ピロカルピンを投与すると, 生理食塩水を投与するよりも組織重量の回復が悪くなった. 形態的には生理食塩水を投与するよりも正常に近い状態にまで回復していた. イソプロテレノールを投与すると, 生理食塩水を投与するのと同程度にまで組織重量が回復した. 形態的には生理食塩水を投与するよりも正常に近い状態にまで回復していたが, ピロカルピンには及ばなかった. 萎縮唾液腺において, ピロカルピンやイソプロテレノールの投与は, 導管細胞から腺房細胞への分化には効果的に作用するが, 組織細胞の増殖には負に作用する(あるいはほとんど作用しない)と考えられた.
ISSN:0368-6833