A-32.歯周疾患患者血清の免疫学的研究 V.数種の歯肉溝内常在微生物の免疫原性と患者血清中の抗体価について

第26回春期日本歯周病学会総会において, 私達は, 歯肉溝内常在微生物であるActinomyces, Bacteroides, Fusobacterium ならびにVeillonellaを対象として, 歯周疾患患者血清中めこれらの細菌に対する抗体の出現率などについて報告をおこなった. 今回は, これら細菌の免疫原性を家兎を用いて検討すると共に, 歯周疾患患者群ならびに対照群血清中のこれら細菌に対する抗体の抗体価を間接血球凝集反応で測定し, 比較検討すると同時に, 歯周疾患の病型の相違による抗体価の変化についてもあわせて検討し, 次の結果を得た61)供試した4種の細菌の家兎に対する免疫原性は,...

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Published in日本歯周病学会会誌 Vol. 26; no. 3; pp. 610 - 611
Main Authors 谷明, 佐川寛典, 上田雅俊, 大塚健司, 山岡昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯周病学会 28.09.1984
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Summary:第26回春期日本歯周病学会総会において, 私達は, 歯肉溝内常在微生物であるActinomyces, Bacteroides, Fusobacterium ならびにVeillonellaを対象として, 歯周疾患患者血清中めこれらの細菌に対する抗体の出現率などについて報告をおこなった. 今回は, これら細菌の免疫原性を家兎を用いて検討すると共に, 歯周疾患患者群ならびに対照群血清中のこれら細菌に対する抗体の抗体価を間接血球凝集反応で測定し, 比較検討すると同時に, 歯周疾患の病型の相違による抗体価の変化についてもあわせて検討し, 次の結果を得た61)供試した4種の細菌の家兎に対する免疫原性は, Actinomyces ならびにFuso bacterium で強くVeillonella はこれらよりやや弱く, Bacteroides が最も弱かった. 2)これら4種の細菌を同時に家兎に免疫した場合でも, この傾向に変化は認められなかった. 3)歯周疾患患者群ならびに対照群の血清中におけるこれらの細菌に対する抗体価は, Fusobacterium で高く, 次いでVeillonella, Actinomyces そしてBacteroides の順に低くなる傾向が認められた. 4)患者群血清中のこれらの細菌に対する抗体価を対照群と比較すると, Actinomyces, Bacteroides ならびにFusobacterium に対する抗体価はほとんど変化が認められず, Veillonellaに対する抗体価は疾患群の方が高い傾向を示した. 5)歯周疾患患者群を病型別に分類し, それぞれの細菌に対する抗体価を対照群と比較したところ, Actinomyces, Bacteroides ならびにVeillonella に対する抗体価は歯肉炎患者で対照群より高い傾向が認められたまた, Veillonella に対する抗体価は, 炎症型の歯周炎の患者においても, 対照群より高い傾向が認められたこの研究の一部は, 昭和58年度文部省科学研究費補助金(課題番号58570770)によっておこなった. 〔質問〕(新大歯)原耕二 萎縮性歯周炎とは, Pageの分類でいうrapidly progressive periodontitisをさすのか. 〔解答〕(大歯大)上田雅俊 Atorophy型とは臨床的に歯肉に炎症症状が軽微であるが骨吸収の存在するものである. 今後, GI値, Bleeding Index, 骨吸収の程度等臨床症状との関連性について検討したいと考える. 〔質問〕(阪大歯)岡田宏 1. 感作血球凝集反応を用いているが, その感作抗原は何か22. 菌間の抗原交叉性の検討は行っているか?〔解答〕(大歯大)谷明 各抗原はそれぞれの免疫家兎血清で交差性は認めなかった.
ISSN:0385-0110