20. ペルテス病におけるAtlanta brace(Scottish Rite orthosis)の使用経験

【目的】ペルテス病に対して1974年Scottish Rite Hospitalにて考案されたAtlanta brace(外転荷重装具)の使用経験を述べ, その利点と問題点について検討を行った. 【対象および方法】1980年以降当装具にて加療し, 3年以上を経過したペルテス病患者25例である. 男21例, 女5例であり, 発症時年齢は4.2歳から10.5歳(平均7.1歳)であった. また, 装着期間は6ヵ月から21ヵ月(平均13.2ヵ月)であった. 装着に際しては, 初診時患側の股関節が他動的に少なくとも30度以上外転することを条件とし, それ以下の場合は, 入院の上2~3週間介達牽引を行い,...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 26; no. 5; pp. 393 - 394
Main Authors 亀ケ谷真琴, 品田良之, 上原朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.09.1989
社団法人日本リハビリテーション医学会
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
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ISSN0034-351X

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Summary:【目的】ペルテス病に対して1974年Scottish Rite Hospitalにて考案されたAtlanta brace(外転荷重装具)の使用経験を述べ, その利点と問題点について検討を行った. 【対象および方法】1980年以降当装具にて加療し, 3年以上を経過したペルテス病患者25例である. 男21例, 女5例であり, 発症時年齢は4.2歳から10.5歳(平均7.1歳)であった. また, 装着期間は6ヵ月から21ヵ月(平均13.2ヵ月)であった. 装着に際しては, 初診時患側の股関節が他動的に少なくとも30度以上外転することを条件とし, それ以下の場合は, 入院の上2~3週間介達牽引を行い, 可動域を改善した後装着した, 原則として, 装着後は全例外来にて月1~2回の割で観察を行い, そのつど可動域, 両大腿・大腿周径, 装具装着時の歩容について調査した. 【結果】装具装着中に疼痛などにより装着が困難となった例はなかった. また, 自宅および学校生活においてもほとんど制限なく, 他覚的には, 装着中外転角度の悪化が認められた例が3例あったが, 他の例では装着開始時の可動域を保っていた. 大腿・下腿の筋萎縮も, 既に認められた健側との周径差はほぼ同程度に推移し萎縮の明らかに進行するものはなかった. 【結論】Atlanta braceは従来の免荷装具と比べ, (1)軽量かつ小型で着脱が容易である, (2)生理的に近い股関節の動きを得られる, (3)ほとんど日常および学校生活での制限がない, の3点において利点があった. 質問 名古屋第一赤十字病院 山田正人:(1)Atlanta brace装着時, 相対的に足部は内反位をとると思われるが, 問題はないか. (2)Tachijanとの効果の面での最大の差異は. (3)(股関節の)内・外旋の点については(どう対処し)どのように考えておられるか. 答 亀ケ谷真琴:(1)両足部の内反に関しては, 両足の外転位での"ガニ股"歩行を指導すればまず問題はないと考えます. (2)Tachijan型装具との一番の違いは荷重を許すことです. また外転位を確実に保持する点でもすぐれています. (3)股関節の内・外旋については, まったく制限していません. なるべく生理的な遅さを与えていると思います.
ISSN:0034-351X