骨吸収抑制薬bisphosphonatesの炎症・壊死作用:基礎研究に基づいた機序・予防・治療に関する考察

【BPが関連する顎骨壊死の背景】BPsはピロリン酸のP-O-P構造をP-C-Pにした化合物である. Cに結合する側鎖に窒素(N)をもつBPs(NBPsと略)は, 窒素のないBPs(non-NBPsと略)よりも遙かに作用が強いため, 臨床的にはNBPsが広く応用され, 骨粗鬆症, 骨転移性の腫瘍など種々の骨吸収亢進症で使用されている. NBPsの副作用として当初からインフルエンザ様の発熱が知られていたが, これに加えて最近, 顎骨壊死・露出という副作用が続発し, 症例は2004年で数十人, 2005年は数百人, 2006年で数千人に達し, 一層の増加傾向にある. 注目すべきは『顎骨壊死はNBPs...

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Published inDental Medicine Research Vol. 29; no. 3; p. 357
Main Author 遠藤康男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学・昭和歯学会 30.11.2009
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ISSN1882-0719

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Summary:【BPが関連する顎骨壊死の背景】BPsはピロリン酸のP-O-P構造をP-C-Pにした化合物である. Cに結合する側鎖に窒素(N)をもつBPs(NBPsと略)は, 窒素のないBPs(non-NBPsと略)よりも遙かに作用が強いため, 臨床的にはNBPsが広く応用され, 骨粗鬆症, 骨転移性の腫瘍など種々の骨吸収亢進症で使用されている. NBPsの副作用として当初からインフルエンザ様の発熱が知られていたが, これに加えて最近, 顎骨壊死・露出という副作用が続発し, 症例は2004年で数十人, 2005年は数百人, 2006年で数千人に達し, 一層の増加傾向にある. 注目すべきは『顎骨壊死はNBPsにより発症し, non-NBPsでの発症例はほぼ皆無である』という事実である. 顎骨壊死の大部分は, 骨転移性腫瘍や多発性骨髄腫の患者(NBPsが点滴投与)であるが, 骨粗鬆症患者(錠剤を服用)でも発症が急増している. BPsは, 骨ハイドロキシアパタイトに強く結合し, 反復投与で“骨に累積”し, また, 骨シンチで99mTcの担体として応用されることからもわかるように, “骨の癌や炎症部にとくに大量に集積”する.
ISSN:1882-0719